プロ注目左腕「覚醒の瞬間」、2試合連続延長14回タイブレーク…夏の大阪大会「準決勝と決勝では何かが起こる!」【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.30』】
Case3:2021年準決勝 興国5-4履正社 大阪桐蔭12-10関大北陽 同年決勝 大阪桐蔭4-3興国 準決勝、決勝の3試合すべてが中身の濃い試合ばかりでした。試合の行われた大阪シティ信金スタジアムは日陰もない球場で、非常に暑いのですが、行われた試合もとても熱かった。興国-履正社の一戦では延長14回に及ぶ熱戦となり、興国が5対4で勝利しました。この試合、興国が流れを引き寄せたのは7回表、レフト・渡部颯外野手がフェンスにぶつかりながらも大飛球を捕ったことでしょう。もし捕球ができず、安打を許していたら、強打の履正社は一気に流れを引き寄せていたかもしれません。粘り強く戦った興国はサヨナラ勝ちを収めました。 第2試合は大阪桐蔭が関大北陽に大苦戦。関大北陽は非常に良い選手が揃っていました。163センチと小柄ながら軽快な守備をみせ、シャープな打撃を見せる勝田 成内野手(関西大)、主将で長打も打てる山田 悠平内野手(関西大)と2人の逸材がいました。序盤は大阪桐蔭がリードしますが、関大北陽打線が爆発し、8回終わって6対7と関大北陽がリードを広げます。ピンチの大阪桐蔭は9回表、池田陵真主将(オリックス)が同点本塁打。打った瞬間、本塁打と分かるとスタンドは総立ち。そして泣き出す大阪桐蔭ファンも多かったです。試合は延長14回に及ぶ熱戦となり、12対10で大阪桐蔭が決勝進出しました。 試合が終わったのは夕方の6時過ぎ。かなり長い1日になったことを覚えております。 決勝の大阪桐蔭vs興国も9回までもつれる一戦でした。大阪桐蔭が3回裏に3点を先制し、先発の松浦 慶斗投手(日本ハム)は8回まで1失点の力投をみせますが、9回表に同点に追いつかれます。9回裏、大阪桐蔭がチャンスを作り、準決勝で同点本塁打を放った池田選手のサヨナラタイムリーで決着がつきました。興国はタイプが異なる投手を使い分け、大阪桐蔭打線を抑え、粘り強い守備で盛り立てました。3試合いずれも手に汗握る熱戦で、そのうち2試合が延長14回のタイブレーク。地方大会の面白さと厳しさが凝縮された1年だったと思います。