映画【推しの子】“絶妙すぎる配役”決まった背景。プロデューサー語る「リアルさ」を重視したキャスティング
――『【推しの子】』の原作コミックの連載も、11月に完結したばかりでしたが、その原作とのすりあわせはどのように進めていったんですか? 2年以上前、原作権を委ねていただいたすぐ後に、赤坂先生とお話をさせていただきました。クライマックスまでの展開は、早い段階で伺えたので、リスペクトを持ったうえで、配信ドラマ&映画なりの組み方を整理しました。ですので、今回の企画を実現するために、ご都合で無理矢理ラストをつくったということはないと言えます。
――原作者のお2人とのやり取りはどういう形でやられていたんですか? 企画が通ったときから赤坂先生には脚本を見ていただきたいとお願いしました。やはりこの作品は赤坂先生なしにはつむげないものなのですから。 一方で横槍先生にはアイドル衣装や楽曲を中心に確認していただきました。本作をつくるうえで、お2人に背中を押してもらっていたので、ものすごく心強かったですね。 ■斎藤飛鳥さんから一度オファーを断られた
――キャスティングが非常に絶妙でした。特にアイ役の齋藤飛鳥さんは、一度はオファーを断ったと話していました。 齋藤さんには一度お断りされてしまいまして……。どうしようかなと途方に暮れてしまい、社長の吉村には「もうAIでつくるしかない」と本気で話したくらいに、齋藤さん以外にアイを演じられる方はいないと考えていました。 ただ、なぜ断られたんだろうと思いまして。もう1回チャレンジできないかとお話をしたら、お会いしていただけることになりました。ただ、ご本人の中でのアイのイメージというのが、アイの陽の部分というか、完全無敵というか。そのイメージが相当強かった。
しかし、そうではなく、アイというアイドルの影の部分を、“齋藤飛鳥”が持ち合わせている影をもってなら描けるんじゃないか、ということをお伝えさせてもらいました。 少し時間をおいて、結果的に腑に落ちたところがあるとおっしゃってくださった。やはり齋藤さんのこれまで培ってきた圧倒的なキャリアと、芝居ができる点。そしてプラス、彼女の人間性みたいなところに魅力があふれていました。 ――齋藤さんに一度断られてもあきらめられなかった思いはどんなところにあったのでしょうか?