銀座フェンディで「中国人観光客が店員に土下座強要?」 批判殺到の観光客よりも、会社側に反省点があるワケ
■毅然とした態度をとるべきだった また、公開された情報が悪用されるリスクもあります。 悪用された例では、被害者の名前と顔写真を使い、本人になりすましてインターネット上の掲示板に第三者を罵倒するような投稿を繰り返していたというものです。こちらも名誉権、プライバシー権、肖像権などの権利侵害として損害賠償請求が認められたというものです。 こうしたリスクを鑑みれば、写真撮影する行為に対し、警告(阻止)ができたはずです。
たとえば、「写真撮影は禁止としております。ご遠慮ください」とお伝えしてみる。そして何度も警告したにもかかわらず撮影行為をやめていただけなかった場合は、お引き取りいただくなど、対処が必要です。 また、気づいたときにはすでに投稿されていて、その内容に何らかの悪意が感じられるようなものであれば、お客様が罪に問われる可能性がでてきます。大切にしたいお客様を犯罪者として扱いたくないとの思いは、会社側としてもあるのではないでしょうか。
一方で、写真撮影が可能なのであれば、「お写真を投稿する際の注意事項をお伝えいたします」などと伝え、撮影時のルールを共有することが必要です。これは、従業員だけでなく、他のお客様への迷惑行為になる危険性もあるからです。 従業員を守るためにも、お客様を大切にするためにも、あらかじめルールを決め、毅然とした行動が必要です。 ③ 会社としてコメントを出したほうがいい 今回のフェンディの件は、報道各社が取材を申し込んでいますが、会社側からの回答はまだないようです。
そもそもSNSで拡散された内容や報道されている内容が事実ではない場合は、名誉毀損罪に該当する可能性もあります。 もし「土下座謝罪が事実だった」場合、仮に店舗責任者が土下座をするように従業員へ指示をしていたとなると、従業員から安全配慮義務違反として、損害賠償を請求されるおそれもあります。 そうしたことも含め、行動に至った経緯や背景を明確に説明することは重要です。 加えて、再発防止に向けた具体的な改善策の提示や、従業員へのサポートなど、今後の会社としての姿勢を見せることも企業全体の信頼性向上にもつながります。