「気象病」になりやすい人の特徴はご存じですか? 症状やセルフチェック法を医師が解説!
気象病の診察と治療
編集部: 気象病はどのようにして診察するのですか? 久手堅先生: 気象病の場合、身体的な検査をおこなっても、明らかな異常がみられることはほとんどありません。しかし、場合によっては脳卒中や心筋梗塞などを併発していることもあります。そうした疾患が疑われる場合には、CTやMRIの画像検査や心電図検査などをおこなうこともあります。 編集部: どのように治療するのですか? 久手堅先生: まずは、気象病かどうか正確に鑑別することが必要です。気象病かどうか調べるために、まずは次の質問に答えてみてください。以下のどちらかに該当した人は、ほぼ気象病と考えて間違いないと思います。 ・天候が悪いときに体調が悪くなる ・雨が降る前など天気の変化がなんとなく予測できる 編集部: 気象病が疑われる場合、どのような治療がおこなわれるのですか? 久手堅先生: 私が臨床で多く使用しているのは、「五苓散(ごれいさん)」という漢方薬です。五苓散は、気圧を原因とした諸症状(頭痛、めまいなど)に対して効果が期待できます。実際、服用してもらった患者さんの多くは「症状がだいぶ楽になった」と話しています。また、症状が出ているときだけでなく、定期的に服用することで頭痛などの症状が出る回数が減ったり、症状が楽になったりする効果も期待できます。 編集部: そのほか、どのような治療法がありますか? 久手堅先生: 症状によって異なり、めまいには抗めまい薬を、片頭痛なら都度治療薬を使います。ただし鎮痛剤の場合、過度に服用すると薬物乱用頭痛になる可能性があります。そのため、服用する回数が月10回を超えているのであれば、頭痛の専門医などに相談することをおすすめします。 編集部: そのほか、日常生活で気をつけることはありますか? 久手堅先生: 日常生活においては、疲れを溜めないことやストレスを解消することが大切です。そして、「良質な睡眠をしっかりとる」「適度に運動する」「夜寝る前にはデジタル機器を使わない」といった心がけも重要です。 編集部: そのほかに注意点はありますか? 久手堅先生: 気圧予報のアプリもあるので、活用してみてはいかがでしょうか。もし明日、天気が崩れそうだなと思ったら、予定を少し空けておくなど、体調がつらくても行動できるようにアレンジしておくといいかもしれませんね。 編集部: 気象病は何科を受診すればいいのでしょうか? 久手堅先生: 頭痛がひどい場合には、脳神経内科や脳神経外科、頭痛外来に相談してください。また、めまいなら耳鼻科を、全身倦怠感や血圧などの様々な不調があれば総合内科を受診するといいでしょう。東洋医学もこの分野に強いので、相談してみるのもいいかもしれません。そのほか、躁うつなどメンタルの症状が出るときには心療内科や精神科が適しています。 編集部: 気象病を専門で診てくれる医療機関はありますか? 久手堅先生: 近年では気象病の認知度も上がり、気象病外来を設けている医療機関もあります。特に、先述した2つのチェック項目から気象病が強く疑われる場合には、気象病外来を受診することをおすすめします。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 久手堅先生: 天気の崩れや気圧の変わり目などに合わせ、体調が悪くなる人は少なくありません。そのような場合、まずは自分が気象病に該当するかどうかをチェックしましょう。また、出現している症状のなかで、特につらいと感じるものを把握し、それぞれに応じて、頓服薬などを使って対策を取りましょう。めまいの予防体操をしたり、肩をほぐしたりすることでも症状の緩和が期待できると思います。放置するとうつ状態が進行することもありますから、早めに適切な対策を講じましょう。