「ほぼ無理ゲー」難関大合格が高校生には酷な事情 試験内容と環境がひと昔に比べて大きく変化
たとえば、英語を見てみましょう。もともとセンター試験の英語は全部で4000語程度でしたが、共通テストになって6000語を超えてしまいました。 これは、従来の発音問題や文法問題がなくなり、長文読解問題に変わったことや長文1つあたりの語数が増えたことによるものです。数学でも、問題文が長くなり、これまで20ページ前後だった問題用紙は30ページ以上になりました。 試験時間については、英語はセンター試験時代から変わらず、数学は10分増えた程度ですから、この問題量増加に見合っていないことは明らかです。
また、科目数と問題数の増加も大事なポイントです。2022年4月に入学した高校1年生からは、新学習指導要領で学んでいると思いますが、2025年度入試からその新課程に対応した形式になります。 共通テストの教科が変更されることは聞いたことがあるかもしれませんが、大きな変更は「情報」科目の追加です。特に国公立大学では「情報」を試験科目に追加する発表が相次いでおり「情報」の試験を避けるのは簡単ではありません。ほかにも、国語の実用文の追加や数学の問題数増加など、基本的に受験生の負担がどんどん増える方向で改訂が決まっています。
■英語の学習量も増加している 英語の早期履修というトピックにも触れます。英語が小学校から必修になったのは、みなさんもご存じでしょう。もちろん小学校から学習を開始しているわけですから、学習量も増加しています。従来の英単語数は、中学校で1200語、高校で1800語の計3000語でした。 しかし、新しい学習指導要領では小学校600語から700語、中学校1600語から1800語、高校1800語から2500語で、合計すると4000語から5000語です。つまり、単語だけで1000語以上学習量が増えてしまったのです。
これに加えて、文法事項なども今まで高校で習っていた範囲を中学校で習うなど、前倒しがおこなわれています。 このように、大学入試を取り巻く環境はこれまで以上に厳しくなっています。その中で、大学入試に向かってやみくもに勉強を進めることは悪手であるといわざるを得ません。 厳しい現状の中で大学入試を勝ち抜くためには、受験を戦略的に進めることが必須なのです。その戦略として、総合型選抜や学校推薦型選抜の活用がありえるわけです。みなさんは総合・推薦入試を正しく理解して、戦略的に取り組んでください。