〝安い日本〟京都の宿泊客の7割は外国人!日本人には近くて遠い観光地になるのか?
▽国内顧客にも心配り 「ロビーもレストランも外国かと錯覚するほどだった」。京都市中心部にあるホテル日航プリンセス京都のスタッフは4月をこう振り返った。 昨年春から訪日客が増え始めたという。光熱費や人件費の上昇に伴い、客室料金をコロナ禍前よりも15%ほど引き上げた。それでも海外からの利用者は多く、今年4月の訪日客比率は過去最高の6割に達し、その後も高い水準が続く。 高まる需要に応えるため、7月からホームページを多言語対応にした。レストランでは訪日客向けメニューの開発に余念がない。語学力の強化などスタッフのスキル向上にも力を入れる。 そんな中でも、日本人客への心配りは忘れない。「コロナ禍でホテルを支えてくれたのは国内のお客さまだった」。値段を上げても、これまで以上に心のこもった接客に努める。「国内の顧客も大事にしながら、海外からも一層の集客を図りたい」。ホテルのマーケティング部門でマネジャーを務める喜多見ゆりさんはこう話した。
▽やはり強い訪日客の消費マインド こんなデータもある。京都市が毎年まとめている「京都観光総合調査」によると、2023年の宿泊者の平均観光消費額単価は日本人が6万3986円だったのに対し、訪日客は8万7208円。内訳をみると、宿泊代は7千円近く、買い物代では1万円近くも訪日客の方が多くお金を使っている。 その強い消費マインドにも支えられ、2023年の観光消費額は過去最高の1兆5366億円に達した。最近では、京都市内の四つの百貨店の免税売上額が今年4月に50億円を突破。円安の追い風で好調が続き、5月以降はコロナ禍前の2019年に比べて3倍以上の伸びとなっている。 オーストラリアから新婚旅行で日本に来たという夫婦は「日本はいいことばかり。今は物価も安いしね」と話した。9月は中国の人たちが家族で月見を楽しむ中秋節、10月には建国記念日の国慶節といった連休が控えている。観光消費額をさらに押し上げそうだ。