自動運転のAIは「トロッコ問題」を判断できるのか? 国交省による検討、社会実験が進む
自動運転のAIの「道徳的判断」にトロッコ問題は適しないという声も強い
なお自動運転AIの道徳的判断にトロッコ問題を適用することに対しては、批判的な意見も存在します。 たとえばノースカロライナ州立大学の研究者らは、トロッコ問題の二元的な選択が、実際の交通状況の複雑さを反映していないと指摘。現実の道路環境ではトロッコ問題のような極端な状況はまれで、むしろ日常的な交通ルールの遵守や安全運転の実践が重要。そのため、自動運転AIの開発においては、より現実的な交通シナリオに基づいた判断基準の確立が求められるという見解も述べています。 先述した通り、日産自動車は2027年度に自動運転でのシャトルバスの運用開始を想定していますが、それまでにトロッコ問題に倫理や哲学の観点で結論を出すことは現実的に難しいでしょう。 トロッコ問題については随時議論しつつも、実際には「トロッコ問題を解決することを目指す」というよりは「実証実験を進め、事故例が少ない取り組みを全国拡大する」形でレベル4の自動運転は広がっていくのかもしれません。
オトナライフ