突如やってくる「0円提示」 給与の仕組みや契約…元Jリーガーが語る“お金事情”【インタビュー】
本当にある“0円提示”「どんな話をしてくれたか、正直、覚えていません」
プロの世界は契約社会で、シビアなものでもある。Jリーグの世界では契約満了をクラブから知らされることを、俗に“0円提示”と言う。舩津氏も山形在籍2年目となった2015年シーズンで契約満了となり退団。この時に実際に“0円提示”を受けた。 「本当に『0円』で提示されます」。シーズンが終わりに近づくと、選手たちはクラブの強化担当者に呼ばれ、クラブに来季も契約する意志があるかどうかを示す書類を手渡される。そこには契約延長の意志を示す「A」や、契約満了を示す「C」のローマ字とともに、来季年俸の提示額が記されている。「C」の場合は、この提示額に「0円」と記載されているという。 「初めてのことだったので『えっ?』って感じでした。その年は試合にも出ていましたし、周りの選手にも『お前はクビにはならないだろ』と言われていたので……。クラブの方がどんな話をしてくれたか、正直、覚えていません。数字を見て『これからどうしよう……』となっていました」。予想だにしなかった放出で、舩津氏も実際に“0円提示”を目の当たりにして、頭が真っ白になった。 突如としてやってくる瞬間。今は資産形成コンサルタントとして働く舩津氏は、だからこそいつ来るか分からぬ事態に“備える”必要性を痛感する。「選手の頃っていつまでも稼げる、この先もしばらくは給料は変わらないんじゃないかって思っちゃう。僕自身、山形のあとも現役を続けられて、14年間プレーできましたが、お金の準備をしてこなかったということは後悔しています」。実体験があるからこそ伝えられる。華やかな世界には、こんなシビアな側面もあるのだ。 [プロフィール] 舩津徹也(ふなつ・てつや)/1987年2月9日、大阪府出身。立正大淞南高―びわこ成蹊スポーツ大―カターレ富山―セレッソ大阪―カターレ富山―モンテディオ山形―ザスパクサツ群馬―FC岐阜。Jリーグ通算356試合19得点。2022年で現役を引退。現在は資産形成コンサルタントとして投資信託などを中心に、資産形成のコンサルティングを行っている。
福谷佑介 / Yusuke Fukutani