【プレイバック’14】身ぐるみ剥がれ人もカネもなし…石破総理が小泉進次郎と〝二人ぼっち〟だった頃
10年前、20年前、30年前に『FRIDAY』は何を報じていたのか。当時話題になったトピックをいまふたたび振り返る【プレイバック・フライデー】。今回は10年前の’14年10月10日号掲載の『石破茂地方創生相 安倍首相に身ぐるみ剥がされ「小泉進次郎と二人ぼっち」』を紹介する。 【心の友よ!】すごい…ないない尽くしの立場に追い込まれた石破氏が頼りにした小泉進次郎氏 5度目の挑戦で自民党総裁選に勝利し、10月1日に内閣総理大臣となった石破茂氏。自身の掲げる正論を曲げずに「1強」だった安倍晋三元首相と対立してきたことで、不遇の時期を過ごしてきたこともあった。そんな時代の石破首相の様子を伝えた記事だ。(以下《 》内の記述は過去記事より引用)。 ◆「砂丘にポツンと一人取り残された心境」 《「石破(茂)さんは鳥取県出身。まさにいま、彼は砂丘にポツンと一人取り残されたような心境ではないか。一時は次の首相ともてはやされたけど、このままだと砂の中に埋没すると心配しているよ」(石破氏と親しい自民党中堅議員)》 ’14年9月3日に発足した第2次安倍改造内閣では幹事長を解任され、地方創生担当相に就任した石破氏(当時57)。この時に新設されたこのポストは安倍晋三首相(当時60)が「日本の未来を設計する重要なポスト」と発言したために注目を集めた。しかし、このとき就任から約3週間が経っていた石破氏の顔色はすこぶる冴えなかったという。彼と親しい全国紙政治部の記者は当時こう説明していた。 《「地方の復興に尽力し、人口減にも耐える日本をつくる仕事、と聞こえはいいが、実際は『予算もない、専用の部屋もない、人もいない』というお飾りのポストだったのです。『これをやるぞ!』と決めても、カネがないから、すぐに実行することができない。地方創生本部の事務局には各省庁出身の70人の職員が配置されていますが、たったの70人では、できることが限られている。まさに、ないない尽くしなんです」》 権限も人も予算も与えないのは、’15年の自民党総裁選を見越しての安倍首相による〝石破つぶし〟にほかならない、という声もあった。実際、この人事では数少ない石破派の鴨下一郎氏や浜田靖一氏が、それぞれ幹事長特別補佐、幹事長代理を外された。石破氏はまさに身ぐるみを剥がされてしまった格好だった。 ◆進次郎氏ら4人だけのチームで さらに地方創生担当相は特命大臣のため、専任の副大臣もいない。大臣を支えてくれる側近もいない状態だったのだ。石破氏がすがったのが復興政務官と内閣府政務官に留任して直属の部下となった小泉進次郎議員(当時33)と大臣補佐官に任命した伊藤達也・元金融相だった。 《平将明内閣府副大臣を含めた4人だけの「チーム・地方創生担当」の結束を強めるために、石破氏は彼らと週に一度、ミーティングを持つことにしている。その場でさっそく、進次郎氏が2つの提案をしたという。 「地方創生の認知度を高めるために、石破さんがメディアに出ることが大事です。また、中央省庁の若手官僚を地方自治体に送り込む『シティーマネージャー制度』をつくってはいかがでしょうか」 味方が少ないなかで、進次郎氏のこの提案はなによりもうれしかったのだろう。石破氏は9月上旬の土日2日間で8本のテレビ番組に出演、さらにそのなかで、 「シティーマネージャー制度を設けて、若手官僚を地方に送り込むつもりだ」 と発言した。石破氏が、いかに進次郎氏を信頼しているかがよくわかる。》 ’12年の総裁選では石破氏に票を投じた進次郎氏。2人で同じ仕事をすることで、結束が深まればいいが、何もできない石破氏を見て進次郎氏が見切りをつける可能性もあった。そして、あまりに進次郎氏頼みだと思われては石破氏の求心力が落ちることも……。そこまで考えてこの人事が行われたのであれば、安部陣営の石破つぶしは相当に念が入っていたと言えそうだ。 ◆人事を断ったことで亀裂が決定的になった ’12年の総裁選で争った石破氏と安倍氏だったが、直後の第2次安倍内閣では石破氏は幹事長をつとめており表面上は上手くいっていたように見えた。2人の対立が決定的になったのは、内閣改造で打診された安全保障法制担当相への就任を断り、幹事長への留任を希望したことだった。これに対しては党内でも石破批判が高まったようだ。 これ以降も地方創生担当相として閣内にとどまった石破氏だが’16年8月の第2次内閣改造で農水相への就任を打診されるもこれを固辞する。以来、安倍派を中心とした主流とは一線を画して「党内野党」とまで呼ばれた。 しかし、紆余曲折を経て、今年10月1日に総理大臣に就任したのはご存知の通り。「二人ぼっち」だった小泉進次郎を振り切り、当選確実と言われた高市早苗氏まで破るという大どんでん返しを演じてみせた。しかし就任以降は、これまでのような一言居士ぶりは鳴りをひそめ、党内融和に目を配り、バランス重視のスタンスをとっているように見える。はたして今回の衆院選で国民の支持を得ることはできるのだろうか。
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