大学受験勉強のやる気を引き出す「タイプ別の目標設定方法」を解説!
4つの志向型(2) 学問型
とことん追求したいことがあるのが特徴 学問型は「哲学に興味があるから文学部の哲学科に行きたい」「戦国時代がとても好きで、史学科に行きたい」「遺伝子の研究をしたいから○○大学の生物科学科をめざす」など、追求したい学問が明確にあるタイプです。小さいころから人一倍好きなことや趣味があったり、マスメディアの影響を大きく受けていたりすることも考えられます。 たとえば学習系のバラエティ番組などを見ていた子どもが「○○先生の恐竜の話がとても面白かった」などと関心を持ち、志望校選びの入り口となるケースがあります。ほかにもノーベル賞受賞などの学問関連のニュースに触れたことがきっかけとなることもあります。 このタイプの子どもは、「英語が好きで、英語が話せるようになりたい。だから留学できる国際学部や外国語学部に進みたい」「物理が好きだから理学部で勉強したい」というように、進学したい学部が固定されていくのが特徴です。 そのため、「早稲田なら何学部でもいい」とか「同志社なら何学部でもいい」など、どんな学部でもいいから少しでも偏差値の高い大学に行きたいという考えはあまり持っていません。工学部志望であれば、複数の大学の工学部だけを受験することになります。 学びたい学問を優先して大学を決めた場合、卒業後の進路として大学院に進み、最終的には学者や研究員としての道を選ぶケースが少なくないでしょう。また、博物館や美術館で学芸員として働くという選択肢も考えられます。 特に理系は学問型の傾向が強くあります。偏差値を重視して理系の学部を選んだ場合には、実験・研究が多いため、興味のない学問では大学生活が苦しくなることもあります。 逆に自分のやりたいことと学部が一致していれば、大学院へと進学する環境も高い水準で整っています。工学部の国立大学では旧帝大(北海道大学・東北大学・東京大学・名古屋大学・京都大学・大阪大学・九州大学)を中心に、大学院への進学率が80%を超えるところもあります。 軌道修正を促すことが必要な場合もある このタイプは学びたいことが明確にあるものの、卒業後に就きたい職業まで想像ができていないケースもよくあります。「もっと偏差値の高い大学に入れるのに……」「仕事に結びつけるのが大変な学問だが、将来は大丈夫だろうか」と、親として物足りなさや不安を感じることもあるはずです。 なかには将来のことも考えて、学部を変更する子どももいますが、このタイプの受験生は究めたい学問が明確なだけに、一度決めるとひたすら突き進む傾向にあります。子どもが志望する大学に進学することが「将来役立つのか」「本当に正しい選択なのか」を親の立場で冷静に判断し、助言することが必要となります。 たとえば、子どもが歴史もののテレビ番組に出演しているA大学の日本史の教授のファンになり、「この先生のもとで日本史の勉強をしたい」という意向を持っていたとします。その場合、A大学史学科の卒業後の進路をまずは調べてみるとよいでしょう。卒業生の進路を見ながら、少しずつ現実的な面に目を向けていくことで、受験のその先を考えられるようになります。 また、同じ史学科でもほかの大学のほうが卒業後の進路指導に力を入れていたり、専門職としてのスキルを身につける上でメリットがあったりするのなら、情報を見比べながらA大学に限らず別の大学でも学べることを教え、史学科のある大学に絞って志望校を選ぶとよいでしょう。 子どもがアクセスできる情報にはどうしても偏りや限界が出てくるものです。保護者の視点から多角的に知識や情報を与えて、修正してあげることが必要です。 この型の注意点やりたいことに突き進み、その先を考えていないおそれがあるため、大学卒業後について、親の立場で冷静に助言することが必要。国際学部のような人気学部の場合、倍率や偏差値が高くなりがちで難易度が上がる。自分がイメージしている学問と、大学での授業内容が異なることがある。おすすめ大学院進学も視野に入れて、大学のホームページを調べる。オープンキャンパスなどを利用して、学部の活動を体験してみる。学びたい学問について詳しく調べる。その学問を学べる大学を、家庭環境も考慮に入れてリストアップする(国公立・私立、場所・地域など)。