大学受験勉強のやる気を引き出す「タイプ別の目標設定方法」を解説!
「目標設定」で子どものやる気を確実に引き出す
これまで多くの高校生たちに接してきて強く実感していることは、確固たる目標、つまり志望大学や学部・学科がある子は、そうでない子に比べて成績の伸びが大きいということです。行きたい大学がある、大学に入って実現したいことがある子は、「絶対に叶えてみせる!」という強い気持ちがあるので、勉強のつらさや大変さを乗り越えていくことができます。目標の有無によって、受験勉強への身の入れ方が大きく変わってくることは間違いありません。 では、目標が定まっていない子どもに対しては、どのようにアプローチしていけばよいのか。そこで私が編み出した方法が、子どもの志向を4つの型のいずれかに当てはめながら、受験への意欲を高めていき、志望校を定めていくというものです。私が提唱している4つの型は、次の通りです。 ・職業型 ・学問型 ・プライド型 ・年収型 順にそれぞれのタイプを詳しく見ていきましょう。
4つの志向型(1) 職業型
なりたい職業が明確になっているのが特徴 職業型は、将来なりたい職業をもとに「大学に入りたい」という気持ちを高めていくやり方です。まず「医師になりたい」「自分は絶対弁護士になる」などと、子どもにすでになりたい職業があるのならば、それを実現するためにはどのような大学・学部に入る必要があるのかを考えさせます。 ただ、日ごろ多くの高校生に接していると「特になりたい職業はない」という子のほうが多く、世の中にどのような仕事があるのかもあまり知らないように感じます。親や親戚など身近にいる人たちが就いている職業くらいしか思い浮かばない子がほとんどでしょう。 その場合、まずは「どのような職業があるのか」を教えることが必要になります。大学生が就職活動などの際に使う職業紹介本や就活用のサイトには、さまざまな仕事が紹介されています。そうしたものを見せながら、「この職業はどう?」などと、子どもの仕事に対する興味・関心の方向性を探っていくとよいでしょう。 たとえば、住宅関連の仕事に子どもが興味を抱いたような場合には、「それなら、住宅メーカーに勤めるという選択肢があるかも。住宅絡みの仕事といっても、設計や施工などいろいろあるみたいだよ」と、より具体的なイメージを持てるように、可能な限り話を掘り下げていくことが望ましいといえます。 資格試験の合格率が高い大学も選択肢に もし、子どもが就きたいと思っている職業が一般企業ではなく、専門職や公務員の場合は、偏差値よりも国家試験の合格率や合格者数で大学を検討することができます。 たとえば一級建築士の試験(令和元年)での合格者数ランキングでは、1位:日本大学192人、2位:芝浦工業大学110人、3位:東京理科大学95人、4位:早稲田大学88人、5位:近畿大学66人と、偏差値のランキングとは異なる順位になります。 大学によって受験者数が異なるので単純に人数だけでは比較できませんが、この年の一級建築士の合格率は12.0%と狭き門であったにもかかわらず、日本大学は合格者数ナンバーワンとなり、一級建築士の試験に強い大学であることがわかります。 志望した大学に入ることが将来就きたい職業に有利に働くのであれば、その選択に反対する理由はないはずです。しかし、むしろ不利となる可能性があるのなら、やんわりと軌道修正を促す必要があります。 この型の注意点深く考えずに、イメージだけで職業を選んでしまう場合がある。医療系などの専門性の強い学部に進む場合、進路変更が難しくなることがある。おすすめオープンキャンパスに行く。めざす職業の業界動向や一日の仕事を調べる。実際にその職業に就いている人に話を聞く。医療系、弁護士、税理士、公務員など、資格や試験が求められる専門職の場合には合格率の高い大学を調べる(大学のホームページ、資料請求等で確認)。銀行員、工業系などの一般企業の場合には、書籍やインターネットなどを使って業界動向や主要企業名等を調べる。実際の仕事の内容や給料などを調べる。行きたい企業がある場合は、就職した卒業生が多い大学を調べる。