首里城火災から5年 二度と繰り返さない「火事」への備え
当時 現場に駆け付けた消防隊員の行く手を阻んだもののひとつが、「施錠された城門」です。北側から到着した隊員たちは久慶門の鍵がしまっていたことからやむを得ずチェーンソーでかんぬきを切って門を開けるまで中に入ることができませんでした。 高良さん「進入できないとなると、破壊するという、消防活動の障害になりますよね、これが迅速放水に影響を及ぼしたのかなと思う」 今回の教訓から首里城の城門には火災報知設備と連動して自動で開錠して入れるような「くぐり戸」が取り付けられることになっています。 そして消火活動をさらに困難にしていたのが坂や階段の多い首里城の要塞構造です。消防車両が城郭内に入ることができなかったため隊員は外から数百mホースを伸ばす必要があり、現場に到着してもすぐに放水が出来ませんでした。 高良さん「首里城自体高台にあるので周辺から水を送っても落差で圧力があがらない状況があったものですから、水を送ってもなかなか圧が上がらない状況だったので私たちも消火栓から中継の形で圧力を上げる活動をしていました。実際に坂道でもありますし、消防隊員は装備をたくさんつけておりますのでだいたい20㎏位を背負っている、そこから火事の現場まで伸ばす時間と体力があるので(消火活動が遅れてしまう)」
濱元晋一郎記者「ホース延長の作業がどのようなものなのか今回特別に体験します」 ホースを伸ばす作業を実際に体験すると、防火服は重く動きづらく、火災現場で呼吸を確保するために背負う空気を入れたボンベは10キロ以上もありました。20メートルのホースも1つ7キロ程で、平地を走って伸ばしていくだけで相当体力が削られます。隊員の補助があっても120メートル伸ばすのに3分あまりかかりました。 では、首里城のような急な階段やカーブの場所でのホース延長出はどうなるのか、階段を使ってやってみます。装備を背負っての階段を上がると動きが平地よりも遅くなってしまいます。 濱元晋一郎記者「(カーブでホースを整える)作業ですごく時間がかかります」 カーブの部分ではホースがどれくらいのびているか分からなくなり、補助に入った隊員4人にさばいてもらい、やっと前に進むことができました。同じ本数のホースを繋ぐのにかかった時間も4分あまりと1分も遅くなったほか、自力で装備を脱げないほど疲弊してしました。 濱元晋一郎記者「一段一段(階段を)上がるたびに(装備の)重さが足と腰にきて、そこからホースを繋いで伸ばす作業で握力もなくなってきて。平面とは全く違って体力が奪われた気がします」