憲法改正めぐり公明は立ち位置変える？

　ただ自民党は公明党との連立の枠組みによって、現実的には与党として法律を成立させることはできる。しかし「それであれば「それぞれ違う公約で選挙戦ったことのつじつまが合わず、その説明責任はどうなるか。有権者や国民に納得してもらえるのかという問題がある」と指摘する。 　連立与党ということで公明党は改憲勢力として数えられることが多いが、憲法改正をめぐっては、自衛隊の9条明記などの改憲たたき台を出して前のめりな自民党と、山口那津男代表が選挙後に「落ち着いた冷静な議論が必要だ」と語るなど慎重な議論を求める公明党では温度差がある。 「公明党が今後、憲法問題で立ち位置を変えるのなら、選挙で言っていたことは何だったんだということになる。野党の場合にあれだけの開きがあれば、相当批判されていると思うが、与党の側だとなぜか批判されない。不思議な状況になっている」 　改憲勢力が3分の2を割ったことを受け、「『組み合わせ』上のことなので、民意が改憲にないというのは当然」とした。 　安倍晋三首相は参院選後の会見で、「与野党の枠を超えて、3分の2の賛同が得られる改正案を練り上げていきたい」「国民民主党の中には憲法改正について議論すべきだと考えてる議員もたくさんいる」と述べている。 　中野教授は改憲に向けた自民党側の切り崩し工作を警戒する。「単に（3分の2まで）あと数議席持ってくればいいとか、さっそく国民民主党を切り崩してというようなことを安倍さんが言っているが、国民民主党にしても、選挙のときに政策合意を立憲野党や市民連合と交わしているので、切り崩されるようなことはないと思っているが、あるんだとするならば、あの時言っていたことは何だったんだということになる」 　また与党に対して「こういういい加減なやり方が自民党や公明党を中心に繰り返されていることが、投票率の低下にもつながっていると思う。気がついたらもう民主主義でもなんでもないという状態になってしまう」と危惧する。