2023年のシリーズチャンピオンを決める一戦【ブルボン Presents WINGRAM CUP 2023 Vol.3】
そんな中で完全に大会の雰囲気を自分のものにして決勝を制したのは猪又湊哉。猪又もパークとバーチカルの二刀流で活躍する選手の一人であり、前回の第2戦で準優勝を収めたことからなんとしてでも今大会では勝っておきたかったのだろう。完璧に今回に対して照準を合わせてきたのが感じられたライディングだった。 30秒間のランでは1本目から高難度複合トリックを盛り込みながら、繋ぎのトリックがないライディングを見せる。「ヒールフリップインディ」「メロングラブ540」「ボディバリアル540」などの高難度トリックをルーティンで79.10ptをマーク。1本目の時点ですら後続選手を引き離す高得点を残した彼だったが、2本目ではさらにこのルーティンをブラッシュアップ。「ダブルキックフリップインディ」をルーティンの中に取り入れるとフルメイクで終えて82.53ptをマークして、ベストトリックに向けて良い流れを作った。 その後のベストトリックでは1本目で「バリアルフリップバックサイド540インディ」を綺麗に決め、90.87ptをマーク。この時点で優勝は手堅いものだったが、 今回の猪又はここで止まらなかった。ウィンニングランとなった3本目では「アーリーウープバリアルフリップ540インディグラブ」という世界初のトリックをメイク。猪又本人もメイクした瞬間に両手でガッズポーズをして喜びを露わにした。そんな彼の世界初のトリックには今大会最高得点94.43ptがスコアされて合計176.97ptとして見事優勝を収めた。
準優勝は大会最年少であり、現在世界中から注目を集めている逸材の河上恵蒔。そんな彼の特徴的なトリックは完成度の高い「900」であるが、1本目ではこの「フロントサイド900」で河上らしくないミスも見られた。しかし、確実にラン1本が最終スコアに反映されるフォーマットからミスが許されない中で迎えた2本目でメンタルの強さを見せる。1本目でミスした「フロントサイド900」をメイクすると「フロントサイドインディ540(通称ロデオ)」や「バックサイド360ノーズグラブ」など決めきってフルメイクで68.03ptをマークした。 ベストトリックでは、世界で誰もバーチカルでメイクできていなかった「アーリーウープ900」にトライ。1本目ではミスするも2本目で見事メイクすると84.87ptをマークした。3本目では河上がリスペクトしているレジェンドライダーであるショーン・ホワイトがかつてメイクしていた「ステルフィッシュロデオ」にトライするも失敗。しかし合計得点を152.90ptとし準優勝を収めた。