なぜ”リアル二刀流”大谷翔平は逆転満塁弾を打たれたのか…米メディアの報道と分析で浮き彫りになった理由とは?
MLB公式サイトは、「ハイムの現ア・リーグMVPからの初ヒットは満塁本塁打」との見出しを取り、ヒーローのハイムに焦点を合わせた記事を配信した。 「満塁で打席に立ち、大谷に対してカウント0-2とされれば力量に関係なくどんな選手でも神経はいら立つだろう。だが、レンジャーズの控え捕手のハイムはそうはならなかった。カーブ、スプリッターと2球続けて空振りをした後、ハイムはじっと待ち、そしてア・リーグMVPが真ん中に投げたスプリッターを打ち、右翼スタンドに391フィート(約119.2メートル)の満塁本塁打を放った。ハイムの満塁本塁打は大谷から放ったキャリア初の安打。本拠地で10-5のスコアでエンゼルスに勝った木曜夜に最後まで手放さなかったリードをもたらした」と伝え、ハイムの試合後の談話をこう紹介した。 「最初のいくつか(2球)のスイングは気合が入って力み過ぎていた。打席から出て、深く息をついて、気持ちを落ち着かせた。流れるようにボールを捉えて上に飛ばそうとした。幸運なことに大谷がボールを抜かせて、それに良いスイングを合わせることができた」 さらにハイムが4回にも155キロのストレートを捉えレフト前タイムリーを放ったことを伝え、「ハイムは(満塁弾で)終わらなかった。彼は、この日、4打数3安打で5打点だったが、2021年は大谷に対して6打数無安打だった」と続けた。 また別記事の中で、「大谷は来週の水曜日(現地時間20日、日本時間21日)に予定されている敵地ヒューストンでのアストロズ戦の次戦登板までにマウンド上での動きを改善させる必要があると語った」と付け加えた。 レンジャーズの“大谷対策”の成功を伝えたのは、敵地の地元紙ダラスモーニングニュース紙だ。 同記事によると、今季のレンジャーズは開幕から1週間のストライクゾーン外のボール球に手を出すスイング率がリーグで6番目に低い数字で、昨年の同時期の23位、シーズントータルで28位の位置から進化していたという。つまりスプリッターなど変化球を見極める選球眼がチームとして向上したのだ。 同紙は、その選球眼を象徴する「素晴らしい例」がハイムの逆転満塁弾につなげた2回一死一、二塁からウィリー・カルフーンが選んだ四球だったと指摘した。ウィリー・カルフーンは1-2と追い込まれてから手を出してもおかしくなかったスプリッターを見送り、さらに2-2からも、低めのゾーンに来たスプリッターを見送り、フルカウントにして最後は大谷のスライダーが外角に大きく外れた。 同紙は、レンジャーズのウッドワード監督の「あの2球(スプリッター)は誰も打てない。彼(カルフーン)は、あのボールに対して何もできないことをわかっていた」というコメントを紹介した上で「その見送りがハイムの満塁弾につながった」と結論づけた。 同紙によると、昨季大谷はレンジャーズ戦に4試合先発してチームは4試合すべてに勝利。大谷は、22イニングを投げて2本塁打を許したが、30三振を奪っており、「レンジャーズは大谷に対して(攻略の)答えを示すことができず、スプリッターに対しては、あたふたしてバットを振り回していた」という。 まさに天敵のスプリッター攻略に成功したわけで、「彼らは(攻略の)答えを持っていた。彼らは開幕から1週間の間にやってきたことをシンプルにやってみせ、彼らのゾーンに来る投球を見極めて、狙い球をスイングしていた。それ以上のことはない。そして、それこそが(今後も大谷を攻略する)カギとなるかもしれない」と記した。 大谷の次戦先発は20日(日本時間21日)のアストロズ戦の予定だ。