ブルゾン¥825,000、イエローニット（参考商品）、ニット¥231,000、パンツ（参考色）¥407,000 （すべて予定価格）BY PRADA（プラダ クライアントサービス）

映画『若き見知らぬ者たち』が10月11日に公開される。本作で風間彩人を演じる磯村勇斗に訊いた。 【写真を見る】磯村勇斗が着こなすプラダとディオールの最旬ファッション（全12枚）

磯村勇斗の本質と作品選び

映画は人の暗部を描き、社会の歪みを映すもの──俳優・磯村勇斗の作品群を見ていると、その本質を思い出す。連続殺傷事件を起こした青年の闇を体現した『月』、カルト的集団の信者に扮した『ビリーバーズ』、行政の限界を見つめた『渇水』、有害な男性性に切り込む『波紋』、高齢者の自死を支援する制度を描く『PLAN 75』、己の欲望と生きづらさをテーマにした『正欲』等々、彼が選ぶ物語には、確固たる一本線が存在する。 『佐々木、イン、マイマイン』やKing GnuのMVを手掛ける俊英・内山拓也監督の商業長編デビュー作『若き見知らぬ者たち』（10月11日公開）もまた、社会の片隅で限界間近の生活を送る家族を軸に、骨太なメッセージを届けんとする意欲作だ。 磯村が本作で演じた風間彩人は、昼間は工事現場、夜は両親が開いたカラオケバーで働きながら亡き父の借金返済と母の介護に追われる青年。総合格闘技の選手として成功を目指す弟・壮平（福山翔大）、恋人の日向（岸井ゆきの）と身を寄せ合いながら生きていた彼の日常は、不条理な暴力で突然奪われてしまう……。 「何が彼を殺したのか…。」というキャッチコピーや予告編などで示唆されている通り、本作では彩人という若者の死を通して、世の理不尽さ・人の無情さを痛烈に見せつける。作品に臨むにあたって、磯村は「彩人は身体にずっと錘を付けて生きているような人だと感じて、僕自身の生活水準を落としてできる限り体現していかなければならないと思い立ちました。そこで、撮影前から食事制限を行い、睡眠の質をあえて下げることによって調整していきました」と語る。 本人は「画面に映っている表情や身体を狙っていったというよりも、必要な準備をしたら自然とそうなっていっただけ」と謙遜するが、心身共に負荷がかかる撮影期間中もずっと続けていたというから、その覚悟は並大抵のものではない。 「やっぱり、自然と出てくるものが真実だと僕は思います。もちろん、準備をしなくてもそういう風に見せることは可能かと思いますが、準備をしたものと比べて芝居における“奥行き”が圧倒的に違うはず。役者は脚本という2次元を3次元にしていく者だと考えているため、自分は奥行きを生む作業を重要視しています。きちんと準備しておくと、見えなかったものが本番で生まれやすくなる土壌が育つような気もしています」