「“女性だから”の一言でかき消さないでほしい」市井紗耶香が子育て中の選挙活動で感じたつらさ
育児のつらさを個人の問題で終わらせない
――選挙活動をしてみて、日本の政治や選挙の在り方は変えていくべきだと思ったところはありますか? 市井紗耶香: 選挙だけに注力するのではなく、日常的に誰もが政治の話を気軽にできる空間を作っていけるといいと思います。私たちの時代の教育が政治を突き放したものにしていたかなという気がしますね。 別に人と違った意見でもいいですし、「私はここの党を応援しています」とかでも全然いいと思うんですよ。隠す必要はないですよね。カジュアルに「政治って生活と密接している大切なものなんだよ」というところを話していければ、もっと周りが明るくなっていくのではと思います。また、議員の定年制度を設けるということも必要なことだと思います。 ――男性と女性で役割が分業になっている家事や育児の現状は問題ですが、それを問題だという政治家が出てくるためには、この問題が残っている社会で選挙に勝たなければならないという現状があります。 市井紗耶香: 子育てをしながらの選挙活動中は、朝に駅前で演説をやって、日中走り回り、一旦帰って晩ご飯作り、また夕方駅前に立つということをしていました。しかし、これでは限界があると思うんです。子どもを見てくれる人を探したり、ご飯を作れないときには、外食とかお惣菜を買ったりとなると、金銭的にも積もりに積もって負担になるんですよね。男性も、同じ状況下だったら感じることだと思うんですよ。「女性だから」という言葉でかき消すのではなく、各党がそういった状況をヒアリングして、活動と金銭の負担を理解した上で、どう支えていくかが非常に重要だと思います。 「何が大変なんですか?」って言われることが一番つらいです。子育てをしていれば洗濯物を畳めない日もありますし、皿洗いを翌日に持ち越してしまうこともあります。子どもの宿題を見てあげたいけれど、見られない…など、日々やることがたくさんあるのが育児です。だから、大変に決まっているんです。 だから「何が大変ですか」って聞かれると、「これが大変なんですよ」と、ピンポイントで伝えられません。仮に「これが大変なんです」と言ったとしても「親なんだからそれぐらい当たり前でしょ」「甘えだ」と言われてしまいます。これまで一生懸命頑張ってそのつらさを乗り越えてきたのに、つらかったことを聞かれて答えるのも正直つらいんですよね。これは私だけでなく世の中のお母さんもそう感じているのではないでしょうか。 それを、個人の問題にせず、社会全体で政治に結びつけて補填できることを考えていければ、もっと便利な世の中になっていくと私は思っています。