ポーランド映画の現在地<1>…最注目作集まるグディニア映画祭、境界超える作品目立つ
次点のシルバーライオン賞は、がつんと来た「ザ・ガール・ウィズ・ザ・ニードル」で、撮影賞、音楽賞、美術賞なども受賞した。ただ、見逃してしまった作品の受賞も多く、もっと時間があったらよかったのにと思う。いくら時間があっても見たい映画は全部見切れないものだけれど。
実は今回、新作をせっせと見る合間を縫って、半世紀前の超大作「Potop」(原題)も見た。ポーランド時代劇映画の立役者といわれるイエジー・ホフマン監督による1974年の作品で、上映時間は3時間超。17世紀、勇敢な兵士である主人公が命をかけて祖国を守り、恋も成就する、という話なのだが、とにかく、映像のスケールが大きくて豪華。自分はポーランド史がよくわからないから、見ていて時折うとうとしてしまったのだけれど、目覚めるたび眼前のスクリーンに広がるゴージャスな光景に驚かされた。迫力のアクション、尋常ならざる人口密度で繰り広げられる戦闘シーン。どこを切ってもスペクタクルで、しかも、きっと全部人力。これもまた幸福な映画体験だった。
同映画祭事務局によれば、2024年の観客数は6万4000人(昨年は6万人)、参加した映画関係者の3600人(同2030人)、外国からのゲストは123人(同87人)にのぼったという。(つづく)
※コンペティション出品作のタイトルは基本的に英題で表記。日本で既に公開されている「人間の境界」(英題:Green Border)は邦題を使用