川淵三郎の「つい口走った」歴史的失言の裏側、会見場を退席し指示した「すぐ電話せぇ」
今でこそ言えるけど
ポッドキャストに出演した川淵さんは、会見の少し前まで時間を巻き戻し、当時のことを解説した。
「(W杯ドイツ大会で)鄭夢準(当時・韓国サッカー協会会長)が日本の試合を観戦に来てくれたんで、僕は感謝の気持ちを込めて韓国の試合を見に行くことになってた」
韓国の試合は、日本代表が帰国する日と重なっていた。そして問題が起きる。
「ジーコが(日本に)帰らないし、記者会見をしないって聞いたから、それはまずいなって、急きょ、(韓国の)試合を見に行く予定を切り替えて、帰国して記者会見をした」
川淵さんにとって、当初は予定になかった記者会見だった。報道陣との質疑応答がひとしきり終わって、あのやり取りが始まる。
「(代表監督は)オシムとの契約がほとんど決まりそうだったから、それが頭の片っぽにあった。それ以外のなにものでもない」
「今でこそ言えるけど、オシムとは早くから契約交渉をしてた。ジーコにも言っていたんだよ。オシムが(ジェフユナイテッド千葉の監督を)辞めて、(オシムさんの息子の)アマルがジェフの監督になることもほとんど決まってた。交渉は終了してたんだよ」
とはいえ、まだ契約前であることには違いない。川淵さんは発言後、いったん会見場を退席している。
「ジェフのサポーターとひともめするなと思ったんで、すぐに田嶋(幸三・当時サッカー協会技術委員長)に、オシムにすぐ電話せぇって言って。(その後の会見で)どういう言い訳したかはよく覚えてないけど」
俺はやっぱり、正直なんだよ
一方、次期代表監督についての新聞報道は、オシムさんのほかに、浦和レッズで監督経験があったホルガー・オジェックさんも取りざたされていた。
「『そう新聞に書いてあったでしょ』ぐらいに言えばよかったな。俺はやっぱり、正直なんだよ。『言っちゃった』って言うのも本心だし。オシムとしか(契約交渉を)やっていないんだよ」
交渉が明るみになったことで、契約が暗礁に乗り上げる心配はなかったのか?