円安と金利高のダブルで高まる日銀利上げ観測、市場は年度内を確実視
(ブルームバーグ): 日本の国債市場で金利上昇の勢いが増している。米国の大統領選挙でトランプ氏の再登板が決まり、インフレ政策発動への警戒から米金利の上昇と円安・ドル高が同時に進み、円安の抑制に向け日本銀行が早期に追加利上げに動くとの観測が広がっているためだ。
13日の取引で、新発5年国債利回りは0.68%と15年ぶりの高水準を付けた。長期金利の指標となる新発10年国債利回りも1%の節目を上回って推移し、3カ月半ぶりの水準に上昇。政策金利との連動性が高い新発2年国債利回りは、次に利上げがあった場合の政策金利になると見込まれる0.5%を既に突破し、2008年12月以来の水準に達している
トランプ氏は米経済を刺激する財政拡張や高率関税の導入を通じ輸入単価を引き上げる通商政策を志向しており、労働需給の逼迫につながる厳格な移民政策も含め、市場ではインフレリスクが高まるとの見方が多い。このため、為替市場では円安・ドル高が進むと予測されており、クレディ・アグリコルなどからは再び1ドル=160円台を目指すとの声も上がる。
フランクリン・テンプルトンの債券担当最高投資責任者、ソナル・デサイ氏は日銀の金融政策について「現時点で12月の利上げを予想しており、来年1年間であと4回の利上げを見込んでいる」と言う。今後は「インフレ目標が持続的に達成されていることがますます明らかになるだろう」とも予想した。
オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場では、日銀が12月の金融政策決定会合で0.25%の利上げに動くとの織り込みが5割に接近。年度内の利上げ確率は一時100%に達し、日銀が7月末の会合で市場予想に反し利上げを決めた直後の8月上旬以来の水準となっている。
SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは、円安がさらに進むことを前提に日銀が12月に0.5%へ利上げし、来年の春闘での賃上げを確認すれば、4月に0.75%へ利上げするとのシナリオを用意できると指摘する。