スポーツ賭博…依存症の「高リスク」 スポーツとギャンブル…興奮は“二乗三乗”
ドジャース・大谷翔平選手の通訳を務め、解雇された水原一平氏。「ギャンブル依存症」を告白していたと報じられました。依存症の当事者や家族の支援団体の代表を務め、自身も依存症だった田中紀子さんはスポーツ賭博について、「他のギャンブルと比べてもリスクが高い。非常に危険」と指摘する。 【画像】大谷選手が“肩代わり”? 国際弁護士「罪に問われる可能性も」
■スピード感があるうえ「やめどきがない」
「ギャンブル依存症問題を考える会」の田中紀子代表 「WBCでもW杯でも、五輪でも…。私たちは手に汗を握って応援しますよね?そこにギャンブルの興奮状態が乗っかってくる。『(興 奮が)2倍になる』という感覚でなく、『二乗三乗になる』という感覚がある」 ただでさえ、スポーツ観戦は、興奮をもたらしてくれる。そこにギャンブルの興奮が、重なってくるのだ。賭けをするタイミングは、試合中に何度も訪れる。打者が1人アウトになったら「次の打者はどうか」。試合の前半が終わったら、「ならば後半はどうなるか」。他の賭博と比べ、スピード感が圧倒的に違うのだという。 さらに、スポーツ賭博には「やめどきがない」と田中さんはいう。24時間・365日、世界中のどこかで行われているスポーツに、金を賭けることができてしまうのだ。 田中さん 「夫婦で会話をしているふりや、子どもをあやすふりをしている間に賭博をしていたり。家族が寝静まったら、1人リビングに行ってずっとやっていたとか、会社でトイレにスマホを持っていって、そこで賭けていたりとか」 スピード感があるうえに、やめどきがない―――。「はまりやすいなと思います」。
■誰しもが思うけど…「やめ続けることができない」
アメリカのスポーツ専門メディア「ESPN」によると、「ギャンブルは苦手です。二度とやらない。一度も勝ったことがない」と水原氏は告白している。実は、田中さんはその言葉こそが最も気になったという。 田中さん 「誰しも思うんですね。“なんでこんなことをしてしまったんだろう、もう二度とやらない”。でも、それを続けることができないんです」 ギャンブルが自分の生活を脅かしていて、家族に迷惑をかけていることは十分に理解できる。そんな自分を責めてもいる。ただ、「やめるという行動をコントロールすることができない、“やめ続けることができない”病気なんです」と田中さんは言う。 田中さん 「風邪を引いた人がせきをとめることができないのと一緒で、意思や根性では無理。薬はないなかで、適切な対処法につなげていくことが大切なんです」