「低価格」「高品質」「健康志向」3つのPB商品で大躍進!“ライフ”の戦略!
ファンを増やす商品戦略&店舗ごとに品揃えを変える
〇ライフファンを増やす商品戦略1~こだわりを徹底した商品開発 東京・品川区の本社で行われていた「ビオラル」の新商品開発会議。首都圏と近畿、それぞれの開発担当者たちが責任者にプレゼンを行う。最もこだわるのは「おいしさ」だ。 健康志向のPB「ビオラル」の新商品候補は、植物性の原材料だけで作った体にやさしい即席ラーメン。ポイントは常温保存でも日持ちする麺だという。だが、開発責任者の首都圏食品日配部部長・関口昌久は納得いかない様子だ。肝心の麺の味に不満があるようだ。開発はやり直し。一つの商品に半年以上、長くて1年かけることもある。 「『ビオラル』はすごく力をいれていますし、自分も妥協したくない」(関口) こうして何度も試食を重ねた商品が、最後に役員や各部門のトップへのプレゼンにたどり着く。この日、最終試食で商品化が決定したのは「ビオラル」の冷凍スープ。「ビオラル」商品の沖縄の塩と低温殺菌牛乳を使っているのが特徴だ。 「了承してもらい安心しました。お客様に届けてなんぼなので、ここから発売に向けて動いていきたいと思います」(首都圏食品日配部バイヤー・上野公寛)
〇ライフファンを増やす商品戦略2~生産者を自らの足と舌で探す 有機野菜のコーナーでは、農薬や化学肥料を極力使わず栽培された野菜の売り上げが、ここ数年で10倍以上も伸びているという。仕入れを担当している首都圏農産部バイヤーの佐野浩二は、これまで有機野菜を使った料理キットや下茹で野菜をヒットさせているスゴ腕だ。 この日、佐野が足を運んだのは千葉・香取市の「加瀬農園」。個別に農家を回り、本当に優れた品質の野菜を自らの足で探し出しているのだ。もちろん、野菜はすべて自分の舌で確認する。自ら足を運ぶ狙いは、生産者と関係性を築くことにある。 「生産者の思いを販売側はしっかりとくみ取った上でお客様に伝える。それが私たちの使命だと思っています」(佐野) 信頼関係を築くことで、優れた野菜をライフに優先的に卸してもらっている。例えば愛知の農園が生産している「めぐりとまと(190g)」(429円)は、凝縮された甘みに酸味がほどよく合わさった品種で、ライフの人気商品だ。「京都産はんなりレタス」(257円)は老化防止に効果があるとされる抗酸化値が高い品種で、都内ではめったに出回らない。 〇ライフファンを増やす商品戦略3~小型店に出来たて弁当作戦 都内にある弁当専用の製造ライン「サテライトキッチン」。一般的なセントラルキッチンに比べると規模はだいぶ小さめだが、ポイントは店舗との距離にある。十分な調理スペースがない小型店の間に設置することで、配送時間をかけずに出来たてを提供できる。 「ここだけでいうと赤字の事業ですが、出来たての総菜、弁当があるおかげでライフのお店の支持が高まる。差別化ができているということかなと思います」(岩崎) たとえ赤字でも、他社にはない商品のクオリティで結果的に集客に繋がると考えているのだ。 また、ライフは客のニーズに合わせて店ごとに品揃えを変えている。その鍵を握るのが、独自に収集した購買データ。客一人一人の買い物の傾向を9つに分類している。 例えば埼玉・所沢市のソコラ所沢店は「買い回り(安さ)を意識されているお客様と、素材手作りを意識されているお客様の、この2つの特性がありました」(店長・清水康夫)。安さにこだわる「買い回り」と素材や鮮度にこだわる「素材手作り」という2つの客層が多い傾向だった。 そこで「買い回り」の客層へは低価格帯の「スマイルライフ」だけを集めた商品棚を設置。そして、「素材手作り」の客層へは地元で採れた野菜コーナーを充実させた。 一方、とある都心の店舗では、すぐに食べられる「即食」や「品質重視」の客層が多い傾向にある。そこで「即食」へは総菜や料理キットなどの品揃えを充実させ、「品質重視」へは「ライフプレミアム」など高価格帯の商品を増やしている。 こうした店ごとの品揃えで客のニーズに応えているのだ。