テレ東・田中瞳アナが明かした、日々向き合っている“痛み”「この時期の私は、強くて弱いモンスター」
テレビ東京アナウンサー・田中瞳の初のエッセイコーナー「瞳のまにまに」。今回のエッセイは田中アナが日々向き合っている“痛み”についてのお話です。 【モコモコ毛布に包まれた田中アナ】あらゆる痛みと闘いながら生きるすべての人にエールを!
体と心ーーまにまに
痛みにも様々な種類や感じ方があるが、脛を硬いどこかしらに打った瞬間に感じるような痛みが、腹部で嘘みたいに続くことがある。毎月のことだ。まずこれが体の痛みの話。 ちなみに、深い海の中に沈んでいくような強烈な眠気も、頼んでもいないのにセットで付いてくる。正直このままでは全く仕事にならないのでそこそこお金をかけて対策しているわけだが、珈琲もエナジードリンクも飲めない私にとって後者だけはどうにもならない。これが寝不足の眠気とはまた違うのだ。だからもし私がある日デスクで白目を剥いていたならば、察していただきたい。 さらには、心が牙を剥く。この時期の私は、強くて弱いモンスターである。 私は社会人として目上の方への接し方には人並みに気をつけているつもりだが、この時ばかりはシャーッと爪を立てて威嚇してしまう。「あれ、なんか顔が疲れてる感じだね~」と帰路につく上司に廊下で声をかけられ、「え、だって本当に疲れてますから。OA行ってきます」などと真顔で言い去ってしまうのだ。 このようにモンスター化した自分に気がつくのはいつも事後。上司は何の気無しに言っただろうに申し訳ないなと思えるだけの心の余白はあるのだが、どうにも制御ができない。 そうかと思えば、朝SNSを開いたときに偶然流れてきた赤ちゃんの動画を見て、寝起き数十秒で涙がぼろぼろ零れたりする。平常時あまり泣かないタイプなので、涙が頬を伝うとなんだか神秘的な感じがして、その様子を鏡などでじーっと見てしまう。 余談だが、代謝が悪く汗をかきにくいため、めずらしく額から汗が垂れるときもまた慌てて確認してしまうのだった。 こんなにも生活に支障をきたすことは起こらないほうが良いに決まっているはずなのに、また今月も心と体が乱れることにどこか安心感を覚えている自分がいる。おかしな日本語だが、「無事に乱れたぞ」と毎度思う。 一度乱れると、しまい込んでいた過去の痛みたちもその角を現し始める。「あーこんなにあったのね」と、まとめておぶって前かがみで歩く。その道のりは決して短くないのだが、気がついたころにはまた背筋ピンと歩けるようになっている。毎月のことだ。
【Profile】田中瞳
たなか・ひとみ/1996年9月16日生まれの28歳。東京都出身。2019年、成城大学を卒業後、テレビ東京入社。現在の担当番組は、『WBS』(月・火・金曜)、『モヤモヤさまぁ~ず2』など。
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