30代~50代に増えている難聴。自分でチェックする簡単な方法とは?【40代から増える「耳鳴り・難聴」に要注意! ①】
視力に比べて、聴覚の衰えは感じにくいものだ。しかし、個人差はあるが40歳を過ぎた頃から「聞こえにくさ」を自覚する人が増えてくる。最近、人の話を聞き返すことが多くなった人は要注意! 聴覚を健康に保つために、まずは「聞く」ことのメカニズムについて、耳鼻咽喉科医で医学博士の石井正則さんに伺った。
難聴が30代~50代に増えている
最近、人の話が聞き取れない、それに伴いたびたび聞き返す、テレビの音が大きいと指摘された、ということはないだろうか? 「難聴」は高齢者の問題で、まだ自分には関係ないと思いがちだが、最近では30代~50代の働き盛りの、特に女性に増えているというのだ。 「それにはストレスによる自律神経の乱れが、耳にも影響していると考えられます。このストレス過多の状態は子ども世代にも広がっていて、そのせいか子どもにも難聴や耳鳴りの症状が出るケースが少なくありません」(石井先生) そもそも「音」とはどういうもので、「聞く」とはどういうことなのだろうか? 「『音』はなんらかで発生した振動(揺れ)が、空気中を伝わることで生まれる目に見えない『波(音波)』です。水に何かを落としたときに広がる波紋に似ています。人の声や物が発する音が違って聞こえるのは、この波の形が違うからです。 そして音の高さは振動の回数で決まります。空気が1秒間に振動する回数(波の数)を周波数といい、Hz(ヘルツ)で表します。1秒間で1回振動することを1ヘルツ、10回だと10ヘルツになります。振動が早く、1秒間に波がたくさん発生することを『周波数が高い』といい、音は高くなります。一方、波が少ないことを『周波数が低い』といい、音は低くなります。 男性の声は約500ヘルツ、女性の声は約1000~2000ヘルツ、赤ちゃんの泣き声は約2000~4000ヘルツ。音階のドの音は約4000ヘルツです。 また音の強さ(大きさ)は振動による空気の圧力の変化量で決まります。これを音圧といい、dB(デシベル)で表します。数値が大きいほど大きな音になります。通常の会話は約40~60デシベル、電車の中は約80~100デシベル、電車の高架下が100デシベル以上になります。 聴覚の良し悪しは、聞き取れる音の「高さ=音域」と「強さ=音量」で判断されます。通常、人が聞き取れる音域は20~2万ヘルツ、音量は小さな音の範囲が0~30デシベル、最小から最大音量では0~140デシベルです。ただし、140デシベルは超強音量で内耳の細胞が破壊される可能性がある危険な音量になります。 一般的に耳の老化は高音域から始まり、モスキート音といわれる1万7000ヘルツくらいの高音は、20代以降になると聞こえない人が増えてきます。つまり、聴力の衰えは20代から始まっていることになります。しかし、聴力の衰えは個人差が大きく、40代で聞こえにくさを感じる人もいれば、80代まで自覚しない人もいます」 では、聞こえにくくなるのは、耳にどんなことが起こるからなのだろう?