30代~50代に増えている難聴。自分でチェックする簡単な方法とは?【40代から増える「耳鳴り・難聴」に要注意! ①】
「指こすり試験」で聴力をセルフチェック!
急に聴力が心配になった人は、自分でチェックする方法がある。それは「指こすり試験」だ。 「まず、右腕を肩の高さで、右方向に真っすぐに伸ばしてください。この耳元から50~60㎝離れた場所で、親指と中指の腹を軽くこすり合わせます。続いて、左腕を左に伸ばして同様に行います。その乾いたわずかな「カサカサ」という音が聞こえますか? ※左右どちらから行ってもOKです。 この音がだいたい2000ヘルツで、女性の高い声とほぼ同じです。これが聞こえれば正常です。聞こえない場合は、すでに難聴が始まり、会話にも支障が出ている可能性があります。手を耳元まで近づけても、指をこする音が聞こえない場合は難聴がかなり進んでいます。 通常、左右差はないのですが、もしも突然、聞こえ方が左右で違うと感じた場合は、突発性難聴など、別の病気の可能性があるので、すぐに耳鼻咽喉科を受診してください。 ちなみに、相手の言葉が部分的に聞き取れないといったことは、話す側の滑舌の悪さや聞く側の注意力の散漫さなどもあるので、必ずしも聴力と関係ないこともあります」 難聴は認知症の最大のリスク要因ともいわれている。今から耳の健康に注意を払うことは、将来の体や脳の健康を保つためにもとても大切だ。
【教えてくれたのは】 石井正則さん 耳鼻咽喉科医・医学博士。JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長。東京慈恵会医科大学大学院卒業とともに、米国ヒューストン・ベイラー医科大学耳鼻咽喉科へ留学。帰国後、東京慈恵会医科大学附属病院耳鼻咽喉科医長、同大学准教授を経て現職。岐阜大学臨床教授を併任。専門は耳鳴り、めまい、難聴、宇宙酔い。日本耳鼻咽喉科学会代議員、宇宙航空研究開発機構(JAXA)・宇宙医学審査会委員。ヨギー・インスティテュート認定インストラクターであり、ヨガのポーズと呼吸の応用で、耳鳴りやめまいの軽減法を提唱している。著書に『70歳から難聴・耳鳴り・認知症を防ぐ対処法(さくら舎)など多数。 イラスト/かくたりかこ 取材・原文/山村浩子