30代~50代に増えている難聴。自分でチェックする簡単な方法とは?【40代から増える「耳鳴り・難聴」に要注意! ①】
「まずは耳の構造、どうやって『聞く』ことができるのかを説明しましょう。 耳は大きく3パートに分かれていて、私たちが耳と表現するものは『耳介(じかい)』といいます。入り口から鼓膜までを『外耳(がいじ)』、鼓膜の奥の空間を『中耳(ちゅうじ)』、その奥を『内耳(ないじ)』といいます。 外耳は音を集める集音器で、中耳の鼓膜から耳小骨(じしょうこつ)を通る過程で音を増幅したり減退させたりします。そして内耳にある『蝸牛(かぎゅう)』には振動を伝える基底板という器官があり、その上に毛の生えた何万もの数の『有毛細胞(ゆうもうさいぼう)』が並んでいます。外から入った音は、この毛が振動で揺れることで感知し、その情報を聴神経が電気信号に変えて脳に伝えています。 年齢を重ねると、高い音から聞こえにくくなります。その理由はこの蝸牛の構造と関係があります。 蝸牛の中の基底板は音の高さによって振動する場所が違い、高い音ほど入り口で、低い音は奥のほうで振動します。入り口付近では低い音で振動はしないのですが、音の高い低いにかかわらず、常に刺激だけは受けています。そのため、高い領域を感知する有毛細胞の毛が先に抜けていくことになります。難聴の初期の段階で高い音が聞こえにくくなるのはこのためです」 高い音が以前よりも聞こえにくくなったら、蝸牛入り口の有毛細胞が脱毛しつつあるのかも!? 一度脱毛すると、二度と再生しない(=元に戻らない)そうなので、早めの対処が必要だ。
大音量のライブ、長時間のイヤホンやヘッドホンは要注意!
ところで、大音量のライブなど、大きな音にさらされたあと聞こえが悪くなり、その後しばらくすると元に戻ったという経験はないだろうか? これはいったいなぜなのだろう? 「外からの音があまりにも大きく危険だと判断すると、中耳にある耳小骨に付着する筋肉が収縮して、受ける音量を抑えます。それにより、しばらく聞こえが悪くなりますが、時間がたつとその筋肉の緊張が解けて、また聞こえるようになります。 通常は12時間以内には回復するのですが、ひと晩寝ても回復しない場合はすぐに耳鼻咽喉科を受診してください。急性音響性難聴の可能性があります。 こうした音響性難聴は、以前は主に長時間大きな音にさらされる職場、例えば工事現場や飛行場などで働く人に多く見られました。しかし、防音用ヘッドホンなどで耳を保護する対処が促進され、その件数は減っています。 一方で、最近増えているのが、ライブやイヤホン、ヘッドホンなどで大音量の音楽を聴くことによる弊害です。耳のすぐ近くで音が鳴る楽器、例えばバイオリンやウッドベースなどを演奏する人に多く見られます。 また、イヤホンやヘッドホンで連続して1時間以上音楽を聴く人も注意が必要です。音量を絞り、1時間聴いたら10~15分程度の休憩をすることが大切です」