相次ぐ郵便局員の過労死 遺族らが家族会発足「健康で働けることを当たり前に」
明美さんは、会社が異動などの対策を取らなかったことは安全配慮義務違反に当たるなどとして25年、さいたま地裁に提訴。28年に日本郵便が解決金を支払うなど和解に至った。
令和2年には、達成困難なノルマが課されるなどし業務上のストレスで発症した鬱病が原因で自殺に至った-と労災が認定された。
■声上げられず
家族会によると、全国で発生した郵便局員の突然死・自死は平成12年以降で少なくとも計25件。今年だけで4件の突然死などがあった。うち3件はいずれも新東京郵便局(東京都江東区)で深夜勤務の非正規社員が死亡した事例で、亡くなった局員らは10~20年以上、深夜勤務を続けていたという。
夫の死から間もなく14年。今も郵便局員の自死や突然死がなくならない現状に、明美さんらは他の遺族らとともに、今年7月に家族会を発足。共同代表には、同僚からのいじめやパワハラ、退職強要が原因で令和元年に自死した札幌市の豊平郵便局員だった男性の遺族も名を連ねる。
同会は今後、過労死撲滅を目指し、相談窓口を通じた被害の予防に取り組むほか、日本郵政グループ各社に対し、過労死、過労自死、精神疾患を起こさないための取り組みを求める。
家族会事務局長の倉林浩さん(68)は「大半の被害者や遺族は声を上げられず沈黙している」と指摘。活動を通じ、「過労死のない社会を目指す」と語った。(村田幸子)