「映画館は嬉しいし、フードコートもいいけど…」 所沢に誕生した「エミテラス所沢」。店のチョイスはいいものの”普通”との声が続出している理由とは?
「テラス」的な開かれた空間への意図は感じなくはないが、どこかその目的が中途半端になってしまっていると思うのだ。 さまざまな商業施設が増え、テナントもたくさんある現在、「エミテラス所沢だからこそ」の場所としての価値を作っていかなければ、施設の価値は向上していかないだろう。 むろん、ビジネス的な観点で言えば、短期での収益回収性を見込んでテナントで敷き詰めたくなる気持ちは理解できる。 しかし、さまざまな商業施設が増えている現在、長期的な視点で見れば、人々が集う場所としての空間価値を訴求したほうが結果的にその場所の価値も向上していくのではないか。
■コミュニティのハブとなるような商業施設を作っていってほしい ……と、やや辛口になってしまったが、そもそも現在の商業施設で「テナントパワー」以外の価値として「場所の価値」を訴求できている施設はどれほどあるだろうか? 基本的には各施設が、「いいテナント」を持ってくる勝負のようになっていて、施設としての価値を本当に押し出している施設は少ない。 しかし、商業施設が飽和しつつある現在、より、人々が集い、コミュニティのハブになるような場所を作っていくほうが、ビジネス的にも筋がいいのではないか。その意味で、今回指摘したことはエミテラスだけでなく、すべての施設に言えることである。
まだエミテラスはオープンしたばかりだから、いろいろな部分を調整中である。所沢の新しい「顔」の一つとして、その価値を伸ばしていけるのか、見守りたい。
谷頭 和希 :チェーンストア研究家・ライター