「映画館は嬉しいし、フードコートもいいけど…」 所沢に誕生した「エミテラス所沢」。店のチョイスはいいものの”普通”との声が続出している理由とは?
この施設のスローガンの一つは「ベッドタウンからリビングタウンへ」だというが、まさに「リビング」、住むことに重点が置かれているのだ。 ■ザ・ショッピングモールな「エミテラス所沢」 テナントの多様さはフードコード以外でも感じられる。 いわゆる、「あったらいいなあ」と思うテナントが大体あるのだ。 ユニクロやスポーツデポ、ジュンク堂書店にノジマ……と、だいたいここに来れば生活に必要なものが揃ってしまう。 また、カプセルトイショップである「#C-pla」、ポップアップショップのスペース(私が訪れたときは人気ゲーム「マインクラフト」のショップになっていた)、ヨギボーショップなど、近年の商業施設にみられる定番のショップも入っており、テナントのバランスは非常にいいといえるだろう。
特に、キッズ向け用品を扱う店舗が多いのも魅力の一つ。3階フロアの一角には「おかしのまちおか」や「アカチャンホンポ」、「ニキティキコレクション」など、ベビー用品、キッズ用品、あるいは子どもが好きな店が集中的に集まっていて、ファミリー層にとっては便利だろう。実際、この施設では「ファミリー層」と「アクティブシニア層」をメインターゲットとしているから、こうしたテナント構成になるのだろう。 また、日用品売り場だけではなく、ゲームセンターやシネコンなどのエンタメ施設も入っており、全体としてバランスがいい。特にシネコンは1800席規模で12スクリーン、最新機器を揃えているため、所沢外からの需要も見込めるだろう。
このように、全体としてテナントパワーが優れており、「よくできたショッピングモール」という印象を持った。 ■エミテラス所沢は「価値」を生み出せるか? しかし、この施設で土地の不動産価値が上がるのかと言われると、正直、なんとも不明瞭だと思ってしまった。というのも、今の話を聞いてお気づきの方もいるかもしれないが、ここ、「至って普通のショッピングモール」だからだ。 現状でのエミテラスの利点は、その大部分がテナントパワーに頼っている。しかし、例えば所沢の他の場所に似たテナントが出店すれば、別にエミテラスに行かなくてもよくなってしまう。