【記者がみた法廷】妻子を殺害の男 背景にあったのは不倫相手への恋愛感情「身勝手極まりない」 求刑は“無期懲役”裁判員の判断は≪新潟≫
2021年に新潟市南区の自宅で妻と当時1歳の娘を殺害したなどの罪で起訴された男の裁判員裁判が新潟地方裁判所で始まった。裁判で明らかになったのは、男の“身勝手すぎる動機”。そして、殺害の背景にあった“不倫相手との恋愛感情”。男と妻子、そして不倫相手との間に何があったのか。裁判を通して、少しずつ全容が見えてきた。 【動画】“妻子殺害”裁判 不倫関係の女性が出廷 「遺族の方に申し訳ない」 検察が殺害の動機と指摘
妻子殺害の男「不倫相手との関係続けるため、障害となる妻子を排除するため」
殺人、殺人未遂、殺人予備、窃盗の4つの罪に問われている新潟市南区の元看護師・渡辺健被告(31)。起訴状によると、渡辺被告は2021年11月、妻と当時1歳だった娘の首をロープで絞め、殺害した罪のほか、妻を殺害しようと、勤務先の病院から塩化カリウム10本を盗んだなどの罪に問われている。 10月29日に行われた初公判。 渡辺被告は、殺人の罪について「間違いありません」と起訴内容を認めた。その後、検察が明らかにしたのは殺害の動機だった。 「不倫相手との関係を続けるにあたり、障害となる妻と娘を排除するためだった」
妻に発覚後も続いた不倫関係「気持ちがまだあり交際を続けた」
11月5日に行われた証人尋問。検察側が殺害の動機になったと指摘する、元不倫相手の女性が証言台に立った。女性は時折、言葉を詰まらせながら、渡辺被告との出会いなどについて、か細い声で語った。 2019年4月、女性は当時、渡辺被告が勤めていた病院に就職。半年後に2人の交際が始まったという。渡辺被告は5か月前、妻と婚姻関係を結んだばかりだった。 その後、不倫関係が発覚した。被告の妻は女性に対して慰謝料を請求し、2020年1月、女性は慰謝料50万円を支払うとともに「被告と今後プライベートで会わない。連絡も取らない」などと約束を記した合意書を作成し、不倫関係は終了した。しかし、2人の関係は終わっていなかったのだ。 <証人尋問の主なやりとり> 【検察側】 「なぜ不倫関係を続けた?」 【元不倫相手の女性】 「被告への気持ちがまだあり、交際を続けた」
娘の誕生後も続く不倫関係 勤務先から盗んだ塩化カリウム 検索履歴に「塩化カリウム 死ぬ」
その後、2020年10月、渡辺被告と妻との間に長女が誕生した。不倫相手の女性も2人の間に子どもが生まれたことを知った。 <証人尋問の主なやりとり> 【検察側】 「子どもが生まれることを知ってどう思った?」 【元不倫相手の女性】 「妻との関係もあるのに、なぜ自分と会い続けるのかと思った」 「やめた方がいいと思ったが、私としては気持ちが続いていた」 その後、2021年2月、元不倫相手の女性が渡辺被告に別れ話を切り出し、2人の不倫関係は再び終了した。しかし3月末、女性の誕生日をきっかけに、三度関係が始まった。8月には渡辺被告と妻、娘で新居での生活がスタート。入居日前日、不倫相手の女性は渡辺被告にこう伝えた。 【元不倫相手の女性】 「年内に離婚の動きがなければ、あきらめる」 その1か月後、渡辺被告は勤務先だった病院から塩化カリウム10本を盗んでいたという。渡辺被告のスマートフォンには「塩化カリウム 注射」「塩化カリウム 死ぬ」などの検索履歴が残されていた。