発達障害かもしれない人の信頼を失わない働き方 ADHD・自閉症併存の声優が22年間皆勤できた秘訣
もう一度言います。発達障害の私たちは忘れます。必ず忘れるのです。 基本に立ち返り、確認を怠らないようにしましょう。ツキノワグマにならずにすみます。 ■常に自分を疑う あなたは、自分の行動に自信がありますか? 私はまったく自信がありません。常に何かが抜けており、ミスだらけの人生を送ってきたので、自分のことが信頼できません。しかし、その「自分を信頼できない」と思う気持ちが、実はとても重要なのです。 私たち発達障害を持つ人に最も必要なこと、それは「常に自分を疑う」ということです。生活において、仕事において、トラブルが発生したとき。まず疑うべきは、「自分」です。トラブルが起きる8割の原因は、自分にあると心に刻んでおきましょう。
私がナレーションを担当している番組のスタッフさんの中にも、発達障害を持つ人がいます。その方が電話でトラブルに対処している様子を、隣で見ていました。 すると、最初に「こんな僕ですので、恐らく、いや、100%僕のミスだと思います! 申し訳ありません! このあと、確認します」と、平謝りしていました。 しかしその後、彼のミスではなく、先方のミスだったことがわかりました。「僕のミスじゃなかったです!」そのときの彼の安堵した笑顔が忘れられません。
まず、自分を疑う。そして、謝る。自分を知っているからこそ、ミスしやすい自分を認めているからこそ、できる行動です。自分を疑って真摯に謝った彼に対して、電話の向こう側の相手は好意すら覚えるでしょう。 思ったことを頭の中で整理せずに、すぐ声に出してしまうところも、私たちの特性です。さらに、自分の正しさを主張しがちなところもあります。 自分のミスじゃなかったとしても、「自分のミスではない」と第一声を発していたら、余計なトラブルが起きていたかもしれません。
ぜひ「常に自分を疑う」ことを心がけてみてください。周りの人とのトラブルが少なくなります。「自分を疑うなんて嫌だ!」「自分を信じることが大切だ!」と感じるかもしれませんが、一度でいいので試してみてください。生きやすくなることを実感できると思います。 ■何度も何度もしつこいくらいに振り返る 私たちは常に自分を疑うべきだ、と前項でお伝えしましたが、これは日常生活全般において言えることです。家を出るときは、忘れ物がないか自分を疑って振り返ってください。鍵は閉めましたか? 振り返ってください。電車から降りるときも、車内に忘れ物がないか振り返ってください。