「あて名は『横山』宛でお願いします 様」「上様死なないで」トンデモ領収書は、有効なの?
● 宛名を正しく書くことが求められる場合は?
――会社では領収書の宛名を正しく書くことを求めていることが多いですが、その理由をお教えください。 領収書は自社がお金を支払ったことを証明するための資料になるからです。領収書を所持していれば、一応、所持者が領収書作成者にお金を支払ったようにも思えますが、他から領収書を不正に入手したのではとの疑いを払拭するため宛名を正しく書いていただくのがベストだからです。 ――領収書の宛名を正しく書くことが求められるのは、どのような場合でしょうか。 消費税を納付する事業者からお金を受領した場合です。 消費税を納付する事業者としては、インボイスの要件を充たさない領収書を受領しても仕入額控除の対象とできず、多くの消費税を納税させられることになります。 消費税納付事業者としては、支払った分を仕入額控除の対象とするため、簡易インボイスが認められている事業者以外の事業者にお金を支払った場合、「交付を受ける事業者の氏名または名称」として領収書に宛名を記載してもらう必要があります。 なお、タクシーやスーパー等不特定かつ多数の方に対する事業の場合、宛名のない領収書を簡易インボイスとして発行することが認められています。不特定多数の人を相手に宛名を記載しなければならないとすると事業に支障が生じるおそれが想定されるからです。 そこで、簡易インボイスの発行が認められる事業者から領収書を受領した場合、その領収書をもって仕入税額控除の対象とすることができます。 【編集部注】記事中に誤解を招くような表現がありましたので一部内容を修正しています(2024年10月8日10:40) 【プロフィール】 冨本 和男(とみもと かずお)弁護士 債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。 事務所名 : 法律事務所あすか 事務所URL:https://www.aska-law.jp/