決勝の舞台で体現した憧れ 東海大大阪仰星SH 全国高校ラグビー
◇全国高校ラグビー大会決勝(7日・東大阪市花園ラグビー場) ◇○桐蔭学園(神奈川)40-17東海大大阪仰星● 【写真で振り返る】桐蔭学園-東海大大阪仰星 真っ赤なスパイクで花園のグラウンドを駆け上がった。東海大大阪仰星のスクラムハーフ(SH)三善(みよし)遼は、後半に見せ場を作った。 7-12と5点差に追い上げた直後の後半6分。自陣10メートルライン付近でパスを受けると、一気に20メートルほどゲインした。さらに、桐蔭学園ディフェンス陣の裏にボールを蹴り、それに追いつこうとダッシュ。結果的にボールはインゴールを越えてトライとはならなかったが、あと一歩のプレーに場内がどよめいた。 ラグビー経験者の父仁さんの影響で、4歳でラグビーを始めた。自身の試合を動画で見返し、親子で分析を繰り返すうちに「考えるラグビー」に魅力を感じた。戦略的なラグビーが持ち味の東海大大阪仰星のスタイルにひかれ、入学したという。 後半6分の見せ場は、そんな憧れを自ら体現したようなプレーだった。三善は「焦りすぎたところもあるけど、グラウンドで自分がそう判断したのが全て」と後悔はなさそうな表情だった。 学業もラグビーも手を抜かない性格だ。兵庫県西宮市出身だが「(勉強も部活動も)中途半端にやりたくない」と家族に相談し、学校近くのマンションに母明子さんと2人で住んだ。 特進コースで授業を受ける傍ら、午前7時前に起きて朝練習に向かう日々を、母は支えてくれたという。「(家族に)本当は勝って恩返しをしたかったんですけど……」と声を震わせたが、「3年間で周りへのリスペクトが大事だと学びました。家族には忙しくて言えてなかったので、いつもありがとうって後で言いたいです」と感謝を忘れなかった。 今後は早稲田大の一般受験に臨む。「花園までラグビーをやりきることができたので、なんでもやりきれると思っています」。目を赤くしながらも前を向いた。【吉川雄飛】