たった1年で販売終了? 米国の希少車 42選 前編 「大人の事情」で打ち切られたクルマたち
プリムスAARクーダ(1970年)
単年生産された多くのクルマと同様、プリムスAARクーダはレース用のホモロゲーションモデルとして誕生した。スポーツ・カー・クラブ・オブ・アメリカのトランザム・シリーズに出場するために作られ、2724台すべて5週間で完成した。 「AAR」の名はダン・ガーニー氏創設のチーム、オール・アメリカン・レーシング(All American Racing)に由来し、ガーニー氏もトランザム・シリーズにクーダで参戦した。このクルマの特徴は、ダックテールのリアスポイラー、リアホイールのすぐ前から出るサイドマフラー、一体成形スクープ付きのグラスファイバー製ボンネットなど。 340立方インチ(5.6L)V8により、0-97km/h加速を5.8秒、1/4マイルを14.4秒で走破する。
プリムス・ロードランナー・スーパーバード(1970年)
プリムス・ロードランナーも決して小さくはないが、スーパーバードはまったく異次元の車だ。まるで本棚のような巨大なリアウイングと、ヘッドライトをリトラクタブル化したエアロダイナミクス・ノーズを組み合わせている。 ボンネットの下には最高出力425psの426立方インチ(7.0L)V8が搭載されているが、これはエアロパーツと同様、NASCAR競技用のホモロゲーションだった。公道仕様の0-97km/h加速は5.5秒、最高速度は240km/hに達する。1年限定で販売され、その生産台数は当初の想定(1920台)を上回る2783台。
AMCホーネットSC/360(1971年)
他社がまだまだ巨大なマッスルカーに熱中している頃、AMCははるかにコンパクトなホーネットSC/360を開発した。既存の2ドアモデルを出発点として、最高出力245psの360立方インチ(5.9L)V8を搭載。パワーは他のマッスルカーより控えめかもしれないが、重量を抑えたことでパフォーマンス向上につながった。 ホーネットSC/360のハンドリングは、ライバルに比べて非常に優れている。1/4マイルは14秒以内だったので、ドラッグレースでも存在感を発揮した。しかし、AMCの狙いが消費者に理解されなかったこと、石油危機が迫っていたことが重なり、販売台数はわずか784台にとどまった。