たった1年で販売終了? 米国の希少車 42選 前編 「大人の事情」で打ち切られたクルマたち
フォード・フェアレーン・サンダーボルト(1964年)
1964年、ドラッグレースは米国で大きな注目を集めるレースとなっていた。フォードがドラッグレースに参戦するための少量生産のスペシャルカーを作ったことも、その重要性の指標となるだろう。フェアレーン・サンダーボルトはドラッグレースのために生まれたモデルで、1964年にわずか100台が生産された。その内訳は4速MT車が49台、AT車が51台。 サンダーボルトには、可能な限り軽量を追求するためにプレーンな2ドア・フェアレーンのボディが採用された。427立方インチ(7.0L)V8を搭載し、フォードは最高出力を控えめに425psと謳った。実際には、標準装備された多数のパフォーマンス・パーツのおかげで600ps近いパワーを発生する。 なお、100台のサンダーボルトはすべて、プロのレーシングドライバーにたったの1ドルで販売された。フォードが同車に開発費以上の宣伝価値を見出したからである。
シボレー・シェベルZ16(1965年)
シボレーはシェベルの「Z16」パッケージについて、ディーラー側にしっかり告知する気はなかったようだ。Z16はシェベルのハードトップ仕様をベースに、最高出力375psの396立方インチ(6.5L)V8エンジンを搭載している。 マンシー4速トランスミッションと強化サスペンション、標準のシェベルよりも1インチ幅の広い6インチ幅のスチールホイールも装備された。ボディカラーはレッド、イエロー、ブラックがあり、合計200台しか生産されなかった。
シェルビーGT350 R(1965年)
車名の「R」が、このマシンについて多くを物語っている。シェルビーはフォード・マスタングを必要最低限の装備にし、最高出力350psの289立方インチ(4.7L)V8エンジンを積んだ。出力数値は公式のものだが、400psに近いという説も多い。0-97km/h加速は5.5秒と、確かにハイパフォーマンスである。 GT350 Rのその他の特徴としては、軽量化されたプレキシガラス製サイドウインドウ、アメリカン・レーシング製トルクスラスト・ホイール、グラスファイバー製フードスクープ、アルミニウム製リアルーバーなどが挙げられる。サーキット専用で、公道走行可能な仕様は販売されなかったが、それでも1965年に34台が売れた。