たった1年で販売終了? 米国の希少車 42選 前編 「大人の事情」で打ち切られたクルマたち
シボレー・コルベットZL1(1969年)
希少で生産台数の少ないシボレー・コルベットはたくさんあるが、ZL1は神話的な地位に近い。1969年に発売され、わずか2台しか生産されなかったこともその理由の1つだ。これは意図的な制限であり、これほどのパワーとパフォーマンスを消費者が手にすることを懸念してのものであった。 C3コルベットをベースにしたZL1パッケージは、427立方インチ(7.0L)V8を使用している。公式の最高出力は430psだが、実際には500ps近いというのは周知の事実だった。しかし、このエンジンの魅力はそれだけではない。標準的なスチール製V8エンジン「L88」の重さに対する指摘を受け、アルミ製としたのだ。 新車当時、たとえZL1の存在を知っていたとしても、L88搭載コルベットの2倍以上の価格を支払うことになる。
ダッジ・チャージャー・デイトナ(1969年)
ダッジ・チャージャー・デイトナを、輝かしいNASCAR参戦履歴を利用した単なるマーケティング活動と切り捨てるのは浅はかだ。風洞実験によってボディ形状が決定された初期のクルマの1つで、バンク付きサーキットで最高速度320km/hに達した。 デイトナには、トランクから23インチ(584mm)上に位置する背の高い巨大リアウイングが装備され、空力的にも外観的にも大きなインパクトを与えている。フロントはポップアップライト付きのユニークなメタルノーズで、リアはフラットなウィンドウがエアロダイナミクスに貢献している。 最高出力425psの440立方インチ(7.2L)V8を搭載し、0-97km/h加速で5.2秒、公道仕様では最高速度220km/hに達する。
フォード・トリノ・タラデガ(1969年)
トリノ・タラデガは、1969年初頭にわずか数週間のみ販売された。ダッジ・デイトナに対するフォードの対抗馬であり、NASCARを念頭に置いたホモロゲーション・スペシャルであった。タラデガという車名は同名のスーパースピードウェイにちなんだものである。 生産台数は754台と、レース規定を満たすのに十分な数であった。標準的なトリノに比べて空力的に優れたフロントエンドを備えているほか、ドライバーの着座位置と重心を低くするためにシルの形状も変更されている。 428立方インチ(7.0L)のコブラジェットV8を搭載するが、レース仕様にはマスタング・ボス429で別途ホモロゲーションされたV8が採用された。