“団地の水は安心だと聞いていた...” 岩倉団地水源から国の基準に近い数値のPFAS検出...岩倉市が独自対策へ「県水で濃度低減を目指す」
発がん性などが疑われる化学物質「PFAS」。愛知県岩倉市では、約2,600世帯に供給する水源から全国で最も高い濃度が確認されました。水源が地下水であることから、原因の調査は困難なものに。“安全な水”を確保するため、岩倉市は対策に乗り出しました。
“全国で最も高い”数値が岩倉団地水源で検出
愛知県岩倉市で10年ほど暮らす加藤和代さん(77歳)。今まで使っていた水から、有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」が検出されました。
以前は泡消化剤やフライパンの表面加工などに使用されていた「PFAS」。体内に入ると発がん性など、健康への影響が疑われています。
岩倉市では今年5月、地下水を使用する岩倉団地水源から、1Lあたり49ナノグラムのPFASが検出。国が定める暫定目標値は超えなかったものの、これまで高い数値だった地域で対策が進み、環境省・国交省が発表した「水道水のPFAS調査(本年度)」によると、今年、岩倉団地水源が全国で最も高い数値に。岩倉市の1割にあたる約2,600世帯が、その水で生活しています。
「PFASは新聞なんかに載ってた。ちょっとショックですよ。地下水は安全だと思ってたから」と、心境を明かす加藤さん。
他住民からも、「団地に来たときは、団地の水を安心だと聞いていた。どうしてこうなったの、なんでこうなるの、今度どうなるのかがすごく不安です」、「息子の妻や子どもになると、ちょっと引っかかりますよね。心配だなって。(住民で)勉強して、高い値が出ていることをどうすればいいか、みんなで考えてやらないと」など、PFAS検出に対してさまざまな声が寄せられていました。
加藤さんも不安に思い、先月、血液検査を受診。日本では血中濃度の指針は定められていませんが、アメリカの学術機関が健康影響へのリスクが上がるとしているPFASの値は、1mLあたり20ナノグラムとなっています。血液検査の結果、加藤さんのPFASの血中濃度は、その3倍の“60.1ナノグラム”という結果に。