上方歌舞伎の人気俳優描く 江戸時代の錦絵58点を展示 大阪城天守閣、24日まで
江戸時代の上方歌舞伎の人気俳優を描いた錦絵(浮世絵)を集めた「上方役者絵にみる歴史劇」展が、大阪市中央区の大阪城天守閣で開かれている。当時、絵師はひいきの役者を応援しようと競って作品を制作した。約200年前の〝推し活〟にもあたり、昔も今も変わらない熱烈なファン心理が伝わってくる。 同天守閣所蔵の58点を展示。江戸後期の1800年代の作品で、大坂や京都で活躍した上方歌舞伎の役者が描かれている。 上方では歌舞伎愛好家が絵師になって錦絵を発展させた。発祥の地・江戸の作品が役者を理想化して描いたのとは違い、写実的な描写が特徴。誰もが知る史実を脚色した歴史劇が大衆の心をつかみ、「連中」というファンの集団が金品に糸目をつけず、ひいきの役者を後押ししていたという。 源平合戦の「一の谷嫩(ふたば)軍記」を演じた「初代中村福助の平敦盛、四代目中村歌右衛門の熊谷次郎直実」(五粽亭(ごそうてい)広貞画)は金を使った豪華版。「三代目中村歌右衛門の加藤正清」(春好斎北洲(しゅんこうさいほくしゅう)画)は豊臣秀吉の忠臣、加藤清正がモデル。徳川幕府ににらまれないよう名前を変えている。 学芸員の加藤壱弥さんは「当時の人々が楽しんでいた歴史ドラマ。そこで人気を博した役者たちの豊かな表情、緻密な描写を見てほしい」と話す。 24日まで。600円(中学生以下無料)。問い合わせは同天守閣(06・6941・3044)。