「我が子に発達障害があるけど、特別な支援が必要とは思わない」卓球・平野美宇三姉妹を育てる母親の思い
オリンピック銀メダリストの平野美宇選手は三姉妹の長女。個性豊かな3人の娘を育てる平野真理子さんは、子どもの個性にそった形で向き合い、未来に伴走してきました。目標が見えない次女、発達障害の三女に対して、真理子さんがとった行動とは?(全4回中の3回) 【写真】似てる?似てない?七夕の短冊に願いをかける平野三姉妹など(全19枚)
■三姉妹で夢中になった卓球とその先 ── パリオリンピックで卓球女子団体銀メダルを獲得した平野美宇選手は三姉妹と伺いました。ふたりの妹さんも卓球に取り組んでいるのでしょうか?
真理子さん:次女の世和(せわ)、三女の亜子(あこ)、いずれも幼少期から「私も卓球をやりたい」と言って私が主宰する卓球教室に入っていました。世和は山梨県チャンピオンで小学校のときの最高戦績は全日本卓球選手権・バンビの部ベスト8、高校のときはインターハイ、全日本卓球選手権女子ジュニアの部にも出場しました。 三女の亜子も幼いころから全国大会に出場し、小学6年生で日本代表として国際大会にも出場しました。高校のときは全日本卓球選手権・女子ジュニアの部でベスト16。今年、国スポ(国民スポーツ大会)にも山梨代表選手として活躍しました。
亜子はコミュニケーションが苦手なタイプで、3歳のころ広汎性発達障害という診断を受けました。性格はひとつのことに没頭するタイプ。必要だと思ったらとことん取り組みます。美宇にそっくりですね。現在は大学生として英語を学んでいますが、通学に往復4時間かけています。それでも卓球が大好きで、21時ごろ帰宅してから毎日2時間は練習を欠かしません。必要だと思ったら、ひとりで日付を超えるまで練習することもあります。
── 亜子さんは小さいころから努力家だったのでしょうか? 真理子さん:はい。お絵描きでもなんでも、とことんやり抜く子でした。私も子どもたちには「目標としているものを得るためには、それ相応の努力が必要だ」と教えてきました。「この大会で優勝したいなら、この練習をするといいね。この学校に進学したいならこのくらい点数が必要だね。そのためにはどうしたらいいかな」と、何が必要なのか一緒に考えます。ただ、それ以上は口うるさくは言いませんでした。やるかやらないかを決めるのは本人で、好き、または、必要と思えばみずから動くでしょう。まわりから言われてしかたなく取り組んでも、人生の貴重な時間のムダ遣いであり、もったいないと私は思います。