森田 想さんが冬休みにしたいこと「韓国ドラマに熱中~2024~」
『Missナイト & Missデイ』
ミステリーありなハートフルコメディ。まず特筆すべきチョン・ウンジの圧倒的演技力。「演技うっっま」と、何回心で叫んだことか。天下のイ・ジョンウン(『パラサイト』などに出演)が何だかファンタジーでコメディなドラマをやっている!で視聴開始したのですが、ある日突然昼と夜で外見が変わってしまう主人公、イ・ミジンをお二人が軽快にそして人情深く、一人の女性として演じ切っています。違う俳優さんが一人の人物を演じるハードルを難なくクリアしているのは、まずチョン・ウンジの類稀に見る貫禄や余裕のある振る舞いが、バトンタッチしてもマッチしていることと、イ・ジョンウンのハツラツな姿、情感ある演技とのコンビネーションがキー。 頑張っても頑張っても報われない、何も上手くいかない主人公、加えて自分の姿が変わり最悪な状況なはずが、その出来事によって人生の転機が訪れ、見失っていた気持ちや日々の楽しさを見つけて輝きだす。その姿は私であって私じゃないのにと思いながら。年齢が鎧になることも、枷になることもある。頑張ることは何も無駄じゃない。頑張ってきた自分を抱きしめないと。ラストにかけて私は相当泣きました、湯たんぽのようにあたたかいエンディング。 冷徹な検察官を演じるチェ・ジニョク(ケ・ジウン役)と2人のケミは抜群。全く笑わない人の心がほぐれて素が見える描写なんていくらあっても良いですよね。会いたくて来ちゃった、がちょっと多すぎるし。恋愛に奥手なジウンとミジンの近づき方に楽しくやきもき。お願いだから早くくっつけ、と思っても待っててください。 あと私的にミジンのお父さんが自分の父親に見た目も中身の優しさも似過ぎていて、正直いつも以上に感情移入しました。韓国らしいハートフルな家族、親友の描写も爆笑必須なので、お楽しみに。 視聴方法_Netflixで配信中
『ユミの細胞たち』
「青龍シリーズアワード」をはじめドラマ・映画で受賞続き。韓国イチの実力派女優として確固たる地位決定なキム・ゴウン様の切ないラブコメはこちら。破裂しそうな筋肉美に気を取られがちなアン・ボヒョン(ク・ウン役)とのシーズン1、物腰の柔らかいGOD7のジニョン(ユ・ボビー役)とのシーズン2、夢の二択展開。この物語は、題して韓国版『インサイド・ヘッド~恋愛は難しい~』ですね。あらゆる感情の細胞たちが、主人公ユミの村(頭の中)を守るため、すなわち彼女自身を傷つけないため作戦会議もするし指示も出すし、アニメで描かれる彼らは、かわいいストーリーテラー。 ただ好きになっただけでは乗り越えられない障害や生まれる疑念は、夢を抱きながら現実の仕事をこなす大人のラブストーリーにつきもの。キュンキュンだけで終わらない恋愛の結末は共感を誘います。が、アン・ボヒョン、こんな人がいたら毎日ときめいて心臓が欠けるぞ、と思わせる演技。 恋する過程、そして感情の変化を無数の細胞たちで表現することで、自分に置き換えやすく目新しい。どうやっても分かり合えない男女間の価値観は村でのルールの違いになるし、頭では分かってても言葉が先に出てしまう仕組みなど画期的で面白く、飽きが来ません。本音や悪態も愛嬌をのせてダダ漏れ。人によって一番大切なプライム細胞も違う。私は、腹ペコ細胞か感性細胞でしょうか。みんなの愛細胞、今日は何してるかな。休んでる子も働き者の子も、代わりに違う細胞がいる村もあるだろうな。 視聴方法_Amazonプライムビデオほかで配信中 テーマに合わせて一気見できる3作品を選んでみましたが、新しく配信された話題作や見逃している作品が列をなしています。私はとりあえず『ジンニョン』『イカゲーム2』『照明店の客人たち』に集中予定。ブルーライトカットメガネを毎日綺麗に拭いて準備万端。年末年始が本番、賢い韓ドラ生活の幕開けです。またお会いしましょう! ●森田 想 2000年生まれ、東京都出身。幼少の頃より子役として活動をスタート。『ソロモンの偽証』シリーズ(15)など多数の映画出演を経て、『アイスと雨音』(17)で映画初主演を飾る。2023年には、主演映画『わたしの見ている世界が全て』でマドリード国際映画祭外国映画部門 主演女優賞受賞。『辰巳』(24)では第16回TAMA映画賞 最優秀新進女優賞を受賞した。出演するNHK BS4K プレミアムドラマ「TRUE COLORS(トゥルー カラーズ)」が2025年1月5日から、カンテレ月10ドラマ「秘密-THE TOP SECRET-」が1月20日からそれぞれスタート。 Illustration_moka Edit_Tomoe Miyake
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