【解説】待ったなしの物流2024年問題 政府の「政策パッケージ」は解決策となるか? そして構想が進む新たな物流システムとは
■「物流の効率化」どう進める? 広がる「混載」…カギは「業者間の連携」
「政策パッケージ」に記載されている対策案として「物流の効率化」が掲げられています。1回あたりに運搬する荷物の積載量を増やしたり、トラック以外の船や貨物列車などをより活用し物流の効率化を図るというものです。 1運行あたりの積載量を増やすための工夫として、荷主の間で協力して荷物を運ぶ「混載」という方法があります。例えば、8トンの水を運びたい荷主と2トンのカップ麺を運びたい荷主がいるとします。それぞれが積載量10トンのトラックで運ぶ場合、積載量が余ってしまします。そこで、荷主同士が協力して水8トンとカップ麺2トンを一緒に運ぶという方法です。現在、大手の荷主企業はこの「混載」に取り組み始めています。
さらに、運送業者側でも荷物を効率的に運ぶ工夫が考えられています。 積載量の低さの要因の1つとして「帰り荷」の問題があります。荷物を運ぶ場合、目的地へと向かう際の積載量は多くても、目的地から帰る際に荷台にほとんど荷物が積まれていないという状況があります。 そこで、考えられているのが「途中で荷物を入れ替える」という方法です。例えば、北海道から東京へ魚を運ぶトラックと、東京から北海道へ向かう医薬品を運ぶトラックが、中間地点で荷台を入れ替えてそれぞれの地点に戻るというものです。この場合、行きも帰りもたくさんの荷物を積んだ状態で輸送できます。
ただ、「混載」と「入れ替え」はまず荷主と運送業者とが連携を強めることが重要となります。
■船や貨物列車利用した輸送…「倍増」目標も実現性は?
政府は船や列車などでの運搬を今後10年程度で、現在の2倍にするという案を出しています。ただ立教大学・首藤教授によりますと、トラック業界にだけでなく、フェリー船や貨物列車の業界でも人手不足の問題を抱えており、多少の積載量の効率化は図れても輸送量2倍は難しいのではないかと指摘しています。
■海外でも深刻な物流問題 地下トンネルで自動輸送?驚きの対策も
スイスでは貨物交通量が2040年までに約4割増加することが予想され、新たな輸送手段が必要とされています。そこで、物流専用道として主要都市を結ぶ地下トンネルを建設し、自動運転カートを走行させる物流システムの構築が計画されています。 地下トンネルはスイスを横断するような形で全長500㎞にも及び、自動運転ということで24時間態勢での走行が可能となっています。建設費用は約5兆円。インフラの建設・システム運営に公的資金は投入されず、民間資金で実施されました。この物流システムは2031年に一部運用開始を目指しているということです。