5浪で悟った「身の程」早大卒の彼が捨てた拘り 苦学の道を余儀なくされ、新聞配達を続ける
信じられない合格の報せを聞いた彼は、「嬉しかった」と感じるのではなく、ただ「終わったんだ」という感覚にしかならなかったそうです。 「今ではもっと喜ぶべきじゃなかったのかな? とも思いますが、心が疲れきっていたんですね」 こうして彼は予備校の学費をすべて稼ぎながら取り組んだ5浪の生活を終えました。 新聞奨学生をしながらの5浪が実を結んだホリ・ホーリーさん。お世話になった新聞販売店の人たちにいい報告ができて、激励の言葉をもらえたことで、だんだんと実感が湧いて嬉しさが込み上げてきたそうです。
彼に浪人してよかったことをお聞きしたところ「身の程を知れた」こと、頑張れた理由については「意地」と答えてくれました。 「私は天才じゃないんだと気づいた5年でした。そのおかげで、偉そうにしても仕方ないと思えて、細かい上下関係などを気にしなくなったのはとてもよかったと思います。 今も社会人として働いていて年下の上司がいっぱいいますが、それでもいいやと思えるようになったんです。謙虚さを身につけることができました」
大学に入学してからのホリ・ホーリーさんは新聞奨学生を続けつつ、大学に通ってストレートで卒業しました。 「大学に入ってからも新聞配達が忙しかったので、サークルに入るなどの楽しい活動はできませんでした。大学の授業の学費も自分で全部稼いで払っていたので、なるべく授業をとって、ストレートで卒業しなきゃと思っていたんです。 嬉しかったのは、第1文学部や教育学部、政治経済学部など、昼間の他学部の授業も受けられたことですね。大学の学びを楽しみながら、4年で卒業することができたのでよかったです。
新聞奨学生自体は5浪プラス大学4年間で、合計9年続けました。その間、使い続けてくれた販売所長には今でも頭が上がりません。よくぞ、こんなやつを見捨てないでいてくれたなと思い、本当に感謝しています」 ■我慢強く、骨のある人間だと気づけた お世話になった当時の販売所長とは、今でもつながっていて連絡が取れる状態であるそうです。大学を卒業したホリ・ホーリーさんは、新卒で東証プライム上場企業に事務職として入り、20年間の時の流れの中で、所属が店舗販売からインターネット販売に移行し、形態が変わったものの、今でも新卒で入社した会社に勤め続けています。