半導体クアルコムとArm、12月の法廷闘争を前に応酬
半導体業界では訴訟が長く続いてきたが、数週間前に新たな事態が勃発した。ブルームバーグによると、Arm(アーム)はライセンス違反の訴えを進めるために12月中旬にQualcomm(クアルコム)と法廷で争う予定であり、その前にクアルコムに対して60日以内にライセンスを取り消す旨の通知を行った。 もしArmがこのライセンス取り消しの警告を実行すれば、クアルコムは多くのチップを出荷できなくなる。これは当然クアルコムにとって大きな打撃だが、Arm自身にも(知的財産権は主張できるものの、収益を損なう可能性があるため)大きな影響を及ぼすだろう。またPC、携帯電話、自動車市場の多くのOEMにも波及する影響が予測される。さらに、Armは米国国際貿易委員会(ITC)に働きかけて、Armの知的財産を使用しているクアルコム製品すべての輸入禁止措置を取る可能性さえある。個人的にはそのようなシナリオは実現しにくいと思うが、まったく可能性がないわけではなく、その場合の影響は甚大である。 一方で、クアルコムはArmの60日間通知に対し、「これはArmからのいつもの脅しだ。長年のパートナーを脅迫するための根拠のない威嚇であり、Armの反競争的な行為は容認できない」と声明を発表した。これに対して、Armは「クアルコムがArmのライセンス契約に繰り返し重大な違反を犯したため、Armは違反の是正を求める正式な行動を取らざるを得なくなった。是正されなければ契約の終了に直面することになる」と述べている。 もちろん、両社ともに法廷での勝利に自信を持っていることを公言している。 ■なぜArmとクアルコムは争っているのか? クアルコムとArmは互いに依存し合う関係にある。前述の通り、Armの知的財産はクアルコムのほとんどのチップに組み込まれている。また、クアルコムはおそらくArmにとって最大の顧客であり、そのためこの訴訟の重要性は特に際立っている。 この問題の根源には長年にわたる法的および財務的な背景がある。クアルコムはかつてArmからアーキテクチャライセンスを取得し、Armの知的財産を使用して独自のチップを開発・設計していた。これは現在のアップルとArmの関係に非常に近い。その後、クアルコムはロイヤリティベースでArmの設計を使用する契約を結んでいた(Armの収益の約半分はライセンス料、もう半分はロイヤリティから得ている)。