半導体クアルコムとArm、12月の法廷闘争を前に応酬
争いの長期化がPCメーカーをx86アーキテクチャのAMDやIntelに押し戻す可能性
しかし、クアルコムは訴訟に関してはベテランで、大量の弁護士も抱えている。実際、クアルコムはアップルとの数年間にわたる法廷闘争で勝利しており、ライセンス紛争でアップルに勝った数少ない企業の1つなのだ。もう1つのエピソードも紹介しておこう。私は数週間前のSnapdragonサミットでクアルコムのトップエグゼクティブたちと多くの時間を過ごしたが、Armのライセンス取り消しの脅威は彼らをまったく心配させていないようだった。私はその件についてクアルコムの幹部たちと話すことはなく、彼らもその話題を持ち出さなかった。 しかし、大局的に見れば、これは業界にとって良くない状況だ。この争いを取り巻く周囲のコンセンサスは、Armとクアルコムがこの問題を何らかの形で解決する必要があるというものだ。顧客もエコシステムもこの状況を望んでいない。争いの長期化──ましてやArmがクアルコムとの関係を完全に断つようなこと──は、PCメーカーをx86アーキテクチャのAMDやIntelに押し戻す可能性がある。クアルコムはまた、スマートフォン向け商用シリコンのトッププロバイダーであり、その役割は下位のSoCブランドであるMediaTekでは果たせないだろう。 さらに、クアルコムにはArmの技術を使う以外に選択肢がない。クアルコムがRISC-Vのチップアーキテクチャに切り替えるという話もあるが、その命令セットを中心に新しいソフトウェアエコシステムを完全に構築するには8~10年かかるだろう。したがって、今はArmとクアルコムの双方にとって、早期に和解するのが最善の利益となるとなるはずだ。新しいライセンスを交渉し、Armにとってより高いロイヤリティ率を設定しつつ、クアルコムが受け入れられる範囲で合意し、その後は市場シェアの拡大と収益の増加に専念すべきだ。 冷静な判断がこの問題を解決に導くことを期待したい。
Patrick Moorhead