半導体クアルコムとArm、12月の法廷闘争を前に応酬
発端はクアルコムによるNuviaの買収
しかし、2021年にクアルコムはNuvia(ヌビア)というチップ設計会社を買収した。NuviaはArmとの独自のライセンス契約を保持していたが、今回の裁判の主要な争点は、クアルコムがNuviaのCPU設計を通じてArmの知的財産を使用する権利を自動的に取得したかどうかである。クアルコムはこの権利を自動的に取得したと考えて行動してきたが、Armはこのライセンスは譲渡不可であり、Armの許可が必要だと主張している。これにより、ライセンスを再交渉し、より有利な条件を得ることを目指している。 このため、現在どのライセンス条件が適用されるのか、クアルコムはどの程度の支払いを行うべきかについて、両社の間で大きな対立が生じている。予想どおり、Armはクアルコムにより多くの支払いを求めており、クアルコムは現状維持を望んでいる。 Armは2022年にクアルコムを契約違反で訴え、より高額な支払いを求めようとしている。もしArmが勝訴した場合、クアルコムは追加の支払いを行うか、あるいはNuviaの設計を含むチップを市場から撤退させざるを得ない可能性があり、クアルコムにとっては財務的に甚大な影響をもたらす。 ■今後の展望 Armがクアルコムのライセンス取り消しの警告を、両社が12月16日に法廷で対決する予定と合わせて発表したのはもちろん偶然ではない。しかし、私は両社が最終的に法廷外で和解し、円満に解決することを望んでいる。多くの交渉と同様に、最終的な合意内容はArmの要求とクアルコムの希望の中間に落ち着くことが予想される。 両社の立場は理解できる。Armは今後数年間で数十億ドルがかかっているため、この問題を追求する強いインセンティブがある。特に、クアルコムがArmの技術を用いてPCプロセッサ市場を再定義しようとしている時期であり、最新のAI機能を搭載したCopilot+ PCの投入を計画していることから、Armはその見返りを求めている。クアルコムはPC市場で上昇するしかなく、開発中のチップで市場シェアを獲得できると考えている。現在のPCプロセッサ市場シェアは1%かそれ以下かもしれないが、目標は二桁台に深く入り込むことだろう。したがって、収益の観点から、Armがクアルコムの成功に対してより大きな見返りを求めるのは理解できる。