パリモーターショーで実感したプジョー、ルノーらブランドの力 中国EVは存在感高める
■EVシフトに揺れる欧州、ゲストが象徴する変革の波
パリサロンでは車以外でも大きなサプライズがありました。前述したBMWのプレスカンファレンスの冒頭、ブランドアンバサダーでもあるフランスの大女優ジュリエット・ビノシュさんが登場。プラグインハイブリッド車(PHV)「X5」を運転した体験談を話しました。 ビノシュさんは、1960年代、冷戦下のチェコスロバキアを舞台にした映画「存在の耐えられない軽さ」や、欧州連合(EU)が創設された1993年に公開され、欧州の変化を読み解く作品として大学の授業にも取り入れられた「トリコロール 青の愛」など、過去と現在の欧州の激動を描く作品に数多く出演する映画女優として強く印象に残っています。 そう考えると、中国勢がけん引するEVシフトで揺れる欧州の中で、特に変革が求められているドイツの自動車メーカーのプレゼンテーションにビノシュさんがサプライズ登場したのは、欧州自動車産業が大きく変わるなかでは違和感のないことだと感じました。
■シトロエン創業の地で味わう、王道的なフランス料理
それでは最後に、パリサロンのついでに訪問していただきたいビストロをご紹介します。パリサロンが開催されるポルト・ドゥ・ヴェルサイユ展示場があるのはパリ15区。パリ南西部のセーヌ川左岸でエッフェル塔のすぐ南側に位置する15区は住宅街が広がりパリで最も人口が多いエリアです。 ここにはかつてシトロエンの創業地となる自動車工場があり、労働者が集い、コメルス(=商業)通りは数多くの商店や飲食店が並ぶ商店街としてにぎわいました。 そんな自動車工場の「城下町」であるパリ15区のコメルス通りにて、シトロエンの黎明(れいめい)期に誕生したのが1921年創業のビストロ「ル・カフェ・デュ・コメルス(Le café du commerce)」です。 間口の狭いこのビストロに入り、細長い通路を奥に進んでいくと、開放的な吹き抜けのある3階建ての食堂が現れます。空間の広いユニークな建築ですが、ビストロ創業前は織物屋と住居だったようです。昼はガラスの天井から差し込む日光が店内を飾る植物に反射して、とても気持ちの良い雰囲気が広がります。 地元住民でにぎわうこのビストロは、肩肘張らずにリラックスしてフランスの伝統料理を味わうことができます。日曜日も昼から営業しているので、私は事前にネット予約してからデジュネ(昼食)で利用し、ワインを飲みながら、ブルゴーニュ産エスカルゴ、牛肉のタルタルステーキ、クレメ・ブリュレと王道的なフランスの地元料理とスイーツを楽しみました。 2年前のパリサロン訪問時にリヨン駅構内のレストラン「ル・トラン・ブルー」で食べたのに続き、今回もメインディッシュに選んだのはタルタルステーキでした。2年後のパリサロン開催時には、どのお店でタルタルステーキを食べようかと今からもう悩んでいます。 文・写真:深尾三四郎(伊藤忠総研 エグゼクティブ・フェロー) 間口の狭いこのビストロに入り、細長い通路を奥に進んでいくと、開放的な吹き抜けのある3階建ての食堂が現れます。空間の広いユニークな建築ですが、ビストロ創業前は織物屋と住居だったようです。昼はガラスの天井から差し込む日光が店内を飾る植物に反射して、とても気持ちの良い雰囲気が広がります。 地元住民でにぎわうこのビストロは、肩肘張らずにリラックスしてフランスの伝統料理を味わうことができます。日曜日も昼から営業しているので、私は事前にネット予約してからデジュネ(昼食)で利用し、ワインを飲みながら、ブルゴーニュ産エスカルゴ、牛肉のタルタルステーキ、クレメ・ブリュレと王道的なフランスの地元料理とスイーツを楽しみました。