パリモーターショーで実感したプジョー、ルノーらブランドの力 中国EVは存在感高める
■MINIのEV発表、コンパクトEV市場拡大の幕開け
2024年の記者や自動車業界関係者などを対象としたプレスデー、最初のプレゼンテーションはドイツのBMW。そのプレスカンファレンスでは、最初に傘下ブランドMINI(ミニ)の最上級モデルであるジョン・クーパー・ワークス(JCW)のEV「ジョン・クーパー・ワークス・エレクトリック」が世界初公開されました。 1959年に英国車メーカーのブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)が生み出したコンパクトカーのMINIは英国の名レーシングカーコンストラクターの「クーパー・カー・カンパニー」の創設者ジョン・ニュートン・クーパー氏により開発された高性能モデルです。 レースに参加しながらブランドの伝説的な地位を確立。1962年にミニクーパー、1963年にはより高性能なクーパーSが生まれました。その後BMW傘下ブランドとなり、2006年にハイパフォーマンスな最上級グレード車としてJCWが設定されました。 Bセグメントのコンパクトカーを主体とするMINIのアイコニックな車のEVがパリサロンのトップバッターとして披露されたことは、世界のコンパクトEV市場拡大の幕開けを象徴しているように見えました。 そして、伝統的自動車メーカーがEVシフトが加速する世界自動車市場での激しい国際競争で勝ち残るためには、長い歴史の中で培ってきたブランド力が不可欠、ということも再認識させられました。
■ルノー、往年の名車をEVとして復活
お膝元フランスのメーカーでは、ルノーが同社のブランド確立に大きく貢献した往年の名車をEVとして復活させることを発表しました。 1961年の誕生から1992年までの31年間、全世界に向けて835万台も生産されたBセグメントのハッチバック「ルノー4(キャトル)」。大容量かつコンパクトなこのクルマは、郵便局や国家警察の御用達になるなど、フランスでは乗用車として史上最多の生産台数を記録、「クルマのジーンズ」と称されました。 ルノーは今回のパリサロンにて、ルノー4をコンパクトSUV(多目的スポーツ車)のEV「ルノー4 E-Tech Electric(エレクトリック)」として復活させました。現代版ルノー4のデザインで最も印象的なのは、ルノーのロゴとLED(発光ダイオード)ヘッドライトを包み込んだ幅1.45メートルの一体成型されたフロントグリル。オリジナル版のアイコニックなデザインを特徴づけた丸型ヘッドランプを想起させつつも、電動化が進んだ未来を見据えた先鋭的なデザインです。 同じく地元フランスのメーカーであるプジョーもEVのラインアップを拡充しました。発表された新型EVのひとつには、前回のパリサロンで注目を浴び、このA RIDE FOR FUNでも取り上げたプジョー408のEV版「E-408」もありました。 フランスメーカーは中国メーカーの欧州市場での攻勢を受けて苦戦を強いられていますが、そのような状況でもEVシフトを着実に進めていることを確認することができました。