中村憲剛×山根視来スペシャル対談。バルサ育ちのリキ・プッチの凄みから、MLSの可能性まで。日本人選手のアメリカ挑戦は増えるのか?
「ミキが代表に入れば風向きは絶対に変わる」(中村)
――冒頭にノートに色々書いてくれたって言っていましたが、山根選手、伝えたいことは伝えられましたか? 山根 そうですね、結構言えていると思います。 中村 俺はノートを見てないから分からないので、俺が聞きたいことを質問してきたけど、ミキが言いたかったこともそういうことだったのかなと。あとは生活はどう? 山根 家族も楽しんでいますし、環境は最高です。ノーストレスですね(笑)。今住んでいるところはすごく安全で、危険を感じることも基本ないです。あとは外ではあまりトイレを使わないようにするとか気を付けていることはありますが...。映画とかで清掃員がスパイに化けているとかあるじゃないですか? 中村 そういう映画あるけど、実際にはある(笑)? 山根 後ろから急に襲われるんじゃないかなと。 中村 なるほど、日本じゃ感じられないアラートさが必要ってことだね。でも楽しそうで良かったよ。 山根 はい、だからロサンゼルス大好きになりました。永住しても良いくらいです(笑)。ビーチもキレイで、近場でトラッキングなどもできるので。 ――そう考えると、MLS挑戦も魅力的な選択肢に映りますね。 中村 日本の選手がどう捉えるかだと思うんです。ヨーロッパ5大リーグなどと比べて、どうランク付けするか、そしてキャリアをどう描いていくかというところなので。20代前半の子たちがMLSに挑戦して、そこから欧州に行ける可能性はあるのかな? 山根 実際にそういう選手たちの例もありますし、移籍できる可能性はめちゃくちゃあると思います(2023年2月には右SBフリアン・アラウホがロサンゼルス・ギャラクシーからバルセロナへ移籍。23歳のアラウホは今季からボーンマスでプレーする)。 中村 マーケットとしてはね、今、メッシらトップレベルの選手が集まっているし、注目されていそうだよね。 山根 リーグの規模もさらに大きくなるはずです。日本人にとっては英語圏で言語のハードルもそこまで高くないですし、日常から海外選手とマッチアップする経験も積める。先ほど設備面の話も少ししましたが、どのクラブも何より環境が良いので、サッカーに集中できる。だからあまり言いすぎるとあれですが、日本人選手にとってはチャンスだと僕は思っています。 中村 例えば20代前半の日本人選手がMLSに行って、そこから羽ばたけば、周囲からの見られ方、風向きは必ず変わるよね。 山根 だからこそ、僕はMLSでプレーするチャンスをもらえたので、日本人選手にとってメリットとなる情報を広めていければと考えています。皆さんは恐らく「上を目指していない選手がいくリーグでしょ」っていうイメージがあると思うんです。でもさっき話にあったように各国から多くの選手が集まるようになっていますし、日本では情報が限られているはずですが、他の国からの見られ方は大きく変わってきていると感じますね。 中村 ミキや麻也、そして高丘(陽平/GK)くんら日本人も少しずつ増えているわけだしね。 山根 だから僕らがクオリティを示すことで、日本人の評価を高め、よりMLSに来やすくしないといけないとは、よく話していますね。 ――そして山根選手をまた日本代表でも見たいです。 山根 そうなれれば良いですよね。 中村 俺はチャンスあるとは思っているよ。もちろん気持ちは持っているでしょ? 山根 もちろんです。そこもMLSから日本代表になれるという例も作っていきたいですね。 中村 そうだね、ミキが代表に入れば風向きは絶対に変わるよ。そうすればMLSも注目されるはずだから。 山根 だから質の高いパフォーマンスを見せていきたいです!! 僕のチームにも各国の代表選手がいますから。 中村 31歳でしょ。怪我をしてしまったけど、33歳の(谷口)彰悟だって代表で頑張っていたわけで、ミキだって絶対にいけるよ。