阪神の成績は超レア 得失点差はマイナス、勝率は5割越え
阪神が好調だ。リーグ戦再開後の6試合で5勝1分け、交流戦最終戦からの連勝は6に伸び、2位巨人に2ゲーム差をつけて首位に立っている。この阪神の得点と失点の差がプロ野球史上でもまれな状態になっていることをご存じだろうか。6月24日に首位に立った時点での得失点差はなんとマイナス72。6月28日現在でもマイナス66と大幅なマイナス収支となっているのだ。
1950年にプロ野球が2リーグ制となって以降、得失点差がマイナス66以下なのに、勝率.500以上でシーズンを終えたのはわずか3チーム(表1)。2004年のヤクルトが得失点差マイナス72で勝率.529、2000年中日が得失点差マイナス73で勝率は.519、1983年大洋は得失点マイナス70で勝率が.500ちょうどだった。しかも阪神はまだシーズンの約半分の試合を消化しただけなので、これら3チームより得失点の収支は悪い状態である。
今の阪神の得失点差を1試合あたりに換算するとマイナス0.94点で、1試合につき約1点のマイナスとなっているのだが、過去に1試合平均の得失点差がマイナス1点以下でシーズンを終え、勝率が.500を超えたチームは存在しない。この条件で最高の勝率を残したのは1954年の広島だが、それでも勝率は.448だった(表2)。今シーズンの阪神がこのままの得失点差と勝率でシーズンを終えてもプロ野球史上4チーム目、ここまでのペースのまま得失点のマイナスが膨らみ、勝率はキープした場合はプロ野球史上に存在したことのないチームとなるのだ。
さらに阪神の特異性を示すデータがある。セイバーメトリクスの指標としてピタゴラス勝率というものがあるのをご存じだろうか。これはチームの総得点と総失点から予測される勝率を算出する指標で、(得点の2乗)÷(得点の2乗+失点の2乗)で求めることができる。(表3)は1950年以降のすべてのチームのピタゴラス勝率と実際の勝率を比較したものである。横軸がピタゴラス勝率、縦軸が実際の勝率となっているが、一目で分かるようにグラフはきれいな右上がり、実際の勝率とピタゴラス勝率には正の相関関係にある。