阪神の成績は超レア 得失点差はマイナス、勝率は5割越え
つまり得失点差がプラスになれば実際の勝率も上昇し、得失点差のマイナスが膨らめば勝率も下がるということは、これまでのプロ野球の歴史で証明されていることになる。過去もっともピタゴラス勝率から解離した勝率を記録したのはプラス方向が1954年の広島のプラス.106、マイナス方向は同じく54年の大阪タイガースでマイナス0.87だった。ピタゴラス勝率から1割以上解離した勝率を記録したのは54年の広島と、1958年の国鉄スワローズの2チームだけ(表4)。1950年以降のべ790チームがシーズンを戦ってきたが、ピタゴラス勝率から.106以上逃れたチームは存在しない。では今シーズンの阪神はどうなのかというと6月28日現在でピタゴラス勝率は.375、実際の勝率は.522なのでその差はなんとプラス.147という数字になる。今の阪神はプロ野球史上最も理想的に得点と失点を割り振っているチームといえるのだ。
では阪神は今後どうなるのか?そのことを探るため弊社に記録の残る2004年以降のシーズンで、70試合を終えた時点で勝率とピタゴラス勝率に大きな差があったチームを調査した結果、今シーズンの阪神ほど大きな差を作っていたチームはなかったが、勝率で.070以上ピタゴラス勝率を上回ったチームが5つ存在した。これらのチームが最終的にどうなったのか、それをまとめたものが表5である。2011年のヤクルトは得失点差がマイナス5ながら勝率.607で首位に立っていたが、最終的には勝率を落とし順位も2位に終わった。一方2010年の中日は得失点差マイナス51ながら勝率は.507、ここから最終的には勝率を.560まで伸ばし1位でシーズンを終えている。
対照的な結果となった2チームだが、明暗を分けたのが後半戦の得失点差だ。2011年ヤクルトは後半戦も得失点差マイナス15と前半とほぼ変わらぬ内容だったが、後半戦の勝率は大幅に悪化し.485となった。2010年中日は後半戦の得失点差はプラス69と大きく改善、その結果後半戦の勝率は.616で前半を上回った。ほかの3チームのケースでも後半戦での得失点差がプラスだった2011年楽天は勝率をアップさせ、得失点がマイナスだった2006年ロッテと2009年広島は勝率もダウンしている。